京都市がオオサンショウウオ在来種保全強化へ、マイクロチップで個体管理

 鴨川水系などに生息し、国の特別天然記念物に指定されているオオサンショウウオの在来種の保護に向け、京都市は新たに生息・繁殖環境の保全などの対策を強化する。マイクロチップを使って在来種の管理を強化し、個体数の回復を目指すとしている。

 3千万年前からほとんど姿が変わっていないことから「生きた化石」とも呼ばれるオオサンショウウオ。一方、1970年代に食用として中国から輸入されたチュウゴクオオサンショウウオの密放流などの影響で交雑が進み、日本在来種の個体数は激減している。

 市が平成23年度から実施している生息状況調査では、捕獲された9割以上が交雑個体だった河川も見つかった。また、市内の個体群は全域的に遺伝子攪乱(かくらん)の影響を受けていることも判明した。

 一方、在来種のみで構成される個体群も一部で残存していることも分かった。こうした背景から、残った在来種を守り、拡大させるため、市は令和7年度一般会計当初予算案に、オオサンショウウオの保存事業費として550万円を計上した。

 在来種の個体群が残存する地域で捕獲調査し、見つかった在来種にマイクロチップを挿入して川へ戻し、識別と管理を強化する。調査で捕獲した外来種と交雑個体は川へ戻さず、飼育して研究などに活用するとしている。

 オオサンショウウオの遺伝子攪乱は全国で見られており、愛知県瀬戸市や三重県名張市などでも緊急で生体状況の調査が実施されるなど、それぞれの自治体が保護対策を進めている。京都市文化財保護課は「在来種をしっかり守るとともに、天然記念物としての大切さを広く発信していきたい」としている。(堀口明里)

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