特定外来生物クビアカツヤカミキリから桜や梅の木守ろう-京都府が市民に対策講習会 樹木医は「迅速対応が重要」

 サクラを枯らしてしまう天敵で、被害が広がっている特定外来生物クビアカツヤカミキリ。被害拡大防止に向けた京都府主催の講習会が、猪崎の三段池公園で13日に開かれた。専門家が解説し、受講した府北部の約50人が生態や防除方法を学んだ。

 体長は2・5センチから4センチほどで、首の部分が赤く、光沢のある黒いボディーが特徴。サクラだけでなく、ウメ、モモなどバラ科の樹木に寄生し、幼虫が木を内部から食い荒らし、枯らせてしまう。

 人体への影響はないものの、繁殖力が非常に強く、国内では2011年に埼玉県で確認されて以降、全国に広がっている。府内では今年7月に京都市と向日市で成虫を初めて確認。8月1日には、福知山市三和町でも成虫とサクラへの被害を確認した。

 府講習会で講師を務めた樹木医の宗實久義さん(75)は、大阪府内のある公園では「被害を食い止めるため、サクラが全て伐採された」とその脅威を説明。迅速な対応の重要性を強調し、兵庫県の自治体の事例として、市民からの通報を受けた翌日に調査、翌々日には対策を講じたことなどを紹介した。

 防除方法としては、樹皮をはいで、幼虫を捕殺▽薬剤の散布や樹幹への注入▽産卵、侵入を抑制する専用ネットを巻く-ことを説明。「一本ごとに被害状況や薬散布ができる、できないなど事情が違う。ネットを巻いて足らないところは薬剤を散布するとか、複数組み合わせて対策することがポイント」と訴えた。

 被害を抑えるにも、被害木の早期発見が有効。幼虫が寄生している木には、フンと木くずが混ざったおがくず状の「フラス」が排出され、一年中見つけることができる。一方、成虫は6月から8月ごろまでに発見でき、それぞれの見つけ方のポイントも解説し、市民からの通報が必要だとした。

 最後に「最初は被害地であっても、対策を怠り近隣市町に被害が広がれば加害地になる。そうならないよう、誰がやるのか、誰が費用を持つのか、そういうことを明確にして、みんなで協力して、諦めずに取り組んで被害を抑えていってほしい」と呼びかけた。

 講習会は8月19日に南部会場として八幡市で開催、その後に北部会場として福知山市で予定していたが、台風のため延期していた。

■三和に被害集中 福知山市が調査

 福知山市は三和町での初確認を受け、8月12日までに周辺の調査や被害木へのネット巻きなどの対策をし、周辺地域の人には自治会を通じて、啓発チラシを配布し周知した。

 8月23日までには、発生箇所から半径4キロ圏内の市の施設や、離れた場所だがサクラの名所とされる福知山城公園、三段池公園なども調査。これまでのところ、被害の確認は民有地も含めて三和町内に集中しており、サクラ、ウメ、モモなど計41本の被害が見つかっている。

 市は今後、被害エリア周辺のさらなる調査を行う予定としているが、そのほかの対策について検討中という。

■見つけた場合は府へ通報、駆除を

 府は「首の赤いカミキリムシを見つけた」「サクラやウメから木くずが大量に出ている」場合は通報するとともに、成虫がいたら踏み潰すなどして駆除してほしいという。「みなさまの力でサクラなどを守りましょう」と呼びかけている。

 通報や問い合わせは府自然環境保全課、電話075・414・4706まで。

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