外来種のガ「アメリカシロヒトリ」が8月中旬ごろから、青森県弘前市の岩木川河川敷で大量発生している。ふ化した幼虫(毛虫)が葉を食い荒らし木が茶色に変色。毛虫が民家の壁に張り付いたり、中に入ったりしている。青森河川国道事務所藤崎出張所によると、川沿いの3.8キロにわたって市民から被害の情報が寄せられており、近年で最も被害が大きかった2021年度の1.9キロを上回っている。
アメリカシロヒトリは毒針毛を持たず、人体への直接的な影響は少ないが、大量発生すると街路樹を食い荒らしたり、洗濯物に付着したりする「不快害虫」。幼虫は葉に産みつけられた卵からふ化し、成長するまでクモの巣のような「巣網」の中で過ごす。
同出張所によると、被害情報が寄せられているのは、同市悪戸地区から藤代地区までの両岸。ふ化した幼虫がオニグルミやサクラの葉を食べ尽くし、木々から移動してきたとみられる虫が付近の民家の壁につくなどしている。
同出張所は24日から、被害情報が寄せられた延長約3.8キロのうち、民家などに被害が及ぼす可能性がある1.3キロで薬剤を散布している。山谷正樹所長は「これほど広範囲に被害が確認されたことはなく、困っている。限りある予算の中で可能な限り工夫しながら対応していきたい」と話した。
市環境課によると、お盆過ぎごろから、「毛虫が壁についている」「風で家に飛んでくる」といった住民からの通報が1日10件以上寄せられている。東奥日報にも「木が変色している」との情報があった。
今年の被害の大きさについて同課の担当者は「高温が影響しているとされるが、はっきりとしたことは分からない。虫が成長してあちこちに移動する前に駆除するのが効果的」と早期発見・早期駆除の重要性を語った。
同市公園緑地課によると、弘前公園内の一部の木でアメリカシロヒトリの幼虫が確認されているが、8月19日から薬剤散布しており、被害は出ない見込み。