本来の生息地である中国南部では絶滅したと考えられていた「スライゴオオサンショウウオ」が日本国内で飼育されていることが、京都大などの研究グループの調査で分かった。オオサンショウウオの交雑問題を調べるために集めた個体の遺伝子解析で判明し、保護計画も浮上している。
今回見つかったのは、サンシャイン水族館(東京)と広島市の動物園で飼育されていた各1匹の計2匹。両生類で世界最大というスライゴオオサンショウウオは、国際自然保護連合のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。
オオサンショウウオを巡っては、近年、京都市の鴨川などで日本在来種と中国産外来種との交雑が問題になっている。研究グループは全国各地の河川や水族館を巡って個体サンプルを収集し、遺伝子解析を進めていた。
中国産のオオサンショウウオは1960年代以降に国内に持ち込まれて交雑が進んだ経緯がある。研究グループの京大地球環境学堂の西川完途教授(動物系統分類学)は「今後、人工繁殖などでスライゴオオサンショウウオを保護する計画もある。外来種は厄介者だと考えられることが多いが、中国側から見れば希少な種だ。解決の難しい外来種問題について、社会全体で考えるきっかけにしてほしい」と話している。
研究成果は英科学誌サイエンティフィックリポーツに掲載された。