米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤の広がる大浦湾側の埋め立てに、防衛省が鹿児島県・奄美大島で採掘した土砂の使用を検討していることが18日、政府関係者への取材で分かった。来年初めにも搬入を始める方針。現在は県内の土砂を投入しているが、不足しつつあり、新たな調達先の確保が課題となっていた。
土砂を巡っては、政府が2020年、沖縄戦の激戦地だった沖縄本島南部を採取場所の候補に選定。遺骨が交じる土砂が使われる可能性があるとして、県民が反発していた。奄美から調達することで、批判を避ける狙いもあるとみられる。
沖縄県は15年、県外からの搬入を規制する条例を施行。条例は、特定外来生物が土砂に紛れて県内に侵入するのを防ぐことを目的としている。県は採取地などで調査ができ、混入が認められれば、知事は搬入や使用の中止を勧告できる。
政府関係者によると、土砂を洗浄することで県外から搬入可能だと判断した。事業者は、搬入の90日前までに採取場所や特定外来生物の防除策などを知事に届け出なければならない。
辺野古沖埋め立ては13年、当時の仲井真弘多知事が承認した。政府は当初、沖縄県内の他、6県から土砂を買い取る予定だったが、条例の施行により県外の土砂の使用を見合わせていた。
沖縄戦では、民間人推計約9万4千人を含め日米双方で計約20万人が死亡した。18万5千柱超の遺骨が収集されたが、本島南部を中心に2千柱超の遺骨が見つかっておらず、南部からの採取は「戦没者への冒涜」との声が上がっている。