県と山形大は12日、天童市清池東の立谷川で、特定外来生物の植物・オオカワヂシャの駆除作業を実施した。オオカワヂシャは昨年春、村山地域での生息が初めて確認され、繁殖力、成長力ともに高く、絶滅が危惧されている在来種・カワヂシャとの交雑、周辺の植物の生育阻害など、生態系への影響が懸念される。
オオカワヂシャは欧州からアジア北部にかけてを原産とするゴマノハグサ科の多年草。河川や水路、湿地など水辺で、地中に張り巡らせた根茎から茎を直立させ、1~2年で高さ約1メートルまで成長する。高い繁殖力で急速に増え、カワヂシャの生育基盤を奪ったり、交雑種をつくったりする。葉の縁のギザギザが不明瞭な点、花の色の違いなどでカワヂシャと区別できる。
幕末に日本国内への移入が確認され、西日本を中心に生息域を拡大した。昨年春、住民からの情報提供で、創学館高南側の立谷川沿い約500メートル区間に生い茂っているのが分かり、県は山形大の横山潤教授(多様性生物学)の協力を得て駆除を実施した。山形市内の水路でも確認されたが、駆除済みだという。
12日は、最大約1.5メートルの川幅を埋め尽くすほどに繁殖が広がっていた昨年に比べて数は減っていたが、各所で群生が確認された。駆除作業には県職員や横山教授、同大の学生ら15人ほどが参加し、3時間ほどかけて丁寧に抜き取った。
カワヂシャは、本県のレッドリストで「絶滅危惧IA類」で、村山地域の一部のみに生息し、立谷川が流れる天童市では既に絶滅したとされる。オオカワヂシャは、庄内地方では過去に確認例があるというが、横山教授は「茎が1本でも残っていると、そこから一気に増える。村山で見つかったことで、カワヂシャが絶滅に追いやられてしまう要因が増えた」とし、早期発見と継続的な駆除作業の重要性を強調する。
県みどり自然課は、川や水路でオオカワヂシャを見つけた場合、速やかに各市町村に連絡するよう呼びかけている。