霞ケ浦のワカサギ、歴史的不漁 夏の高水温が影響 茨城

 霞ケ浦のワカサギ漁が歴史的不漁となっている。夏から年末にかけて漁期となるが、今年は9月ごろから漁獲が「ほぼゼロ」の日も珍しくない。専門家は今夏の水温上昇が要因と指摘。短期間での回復は難しい状況という。国内有数の産地として、関係者は対策協議を近く行う。

 30日午前6時半、茨城県行方市手賀の船だまりに、霞ケ浦漁業協同組合副組合長の伊藤一郎さん(57)の漁船が戻った。他の魚に交じったワカサギを数えると、「30匹ほど。200グラムの1パック分にしかならない」と話した。最近は2時間半かけても、数匹しか取れない日もあると明かす。

 県によると、ワカサギ漁が解禁された7月21日、霞ケ浦の平均漁獲量は前年から8・8キロ減の9・8キロだった。伊藤さんは「ちょっと少ないなという程度だった」が、明らかに異変を感じたのは8月。「ワカサギが痩せて、漁獲が減っていった」。他の漁業者に聞いても同様だという。

 全国2位の湖面積の霞ケ浦は、古くから北浦とともに国内有数のワカサギ産地で、かつての帆引き船による漁法でも知られるが、近年は漁獲量の減少傾向が続く。

 県霞ケ浦北浦水産事務所によると、1965年の2595トンをピークに、2019年は119トン。21年は一気に34トンまで減少。22年は17トン(速報値)で、記録が残る1954年以降で最も少なかった。今年はさらに下回るとみられている。

 ワカサギの生態について、県水産試験場内水面支場の担当者は「水温が26度を超えると成長が停滞。29度を超えると死に始める」と説明する。今季は水温が30度を超える日が7月10日ごろから約2カ月続いたことから、不漁の要因は「高水温の影響とみられる」と指摘する。

 県内は今夏、異例の暑さとなった。水戸地方気象台によると、霞ケ浦に面する土浦市では7月、最高気温35度以上の猛暑日が計15日で過去最多となった。市の同月の最高気温も更新するなど猛暑が続いていた。

 記録的不漁を受け、県や水産関係者は資源利用協議会を11月に開き、水産資源の保護対策を話し合う。

 漁業者はワカサギの漁獲が見通せないため、収入確保を模索する。伊藤さんは「テナガエビ漁のほか、通常は取ることのないヘラブナを釣り堀向けに出荷している」などと対応策を話した。

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