福島県は31日、強い毒を持つ要緊急対処特定外来生物「アカカミアリ」が郡山市の事業所で発見されたと発表した。ヒアリの近縁種で、東北地方での確認は初めて。米国南部から中米の原産で繁殖力が強く、いったん定着すると分布を広げる恐れがあり、県は環境省と協力して周辺の調査を進める。
県によると8月30日、同市の事業所の倉庫内で従業員がコンテナの中からアリ数十匹を発見。専門家の調べでアカカミアリの「働きアリ」と断定した。全て駆除し、人への被害はなかった。
コンテナはスリランカから中国経由で横浜港に入り、泉崎村の倉庫で一時的に留め置かれた後、同市に運び込まれた。中国ではアカカミアリが定着しており、混入した可能性がある。同省と県は泉崎村と郡山市の倉庫で殺虫剤を噴霧するなどの対応を取った。
同省などによると、アカカミアリはヒアリと同様に攻撃的な性格で、在来種などの生態系に重大な影響を与える恐れがある。人が刺された場合は激しい痛みを伴い、まれに死亡するケースもある。体は赤褐色で長さ3~5ミリ。
環境省のまとめでは2017年度以降、21都府県で126件の確認事例があり、多くが関東や関西圏だった。人や家畜の被害は報告されていない。