「国内外来」タナゴ、ほぼ全国に 安易な放流に警鐘 龍谷大調査

 龍谷大生物多様性科学研究センターは1日までに、絶滅危惧種の淡水魚タナゴ類に関する文献調査の結果、本来の生息地域から離れた場所で「国内外来種」として見つかる事例が全国39都道府県で確認されたと発表した。飼育できなくなるなどして放流されたとみられ、同センターの伊藤玄客員研究員は「地域固有の種を守るためにも、安易な放流は控えなければならない」と訴えている。

 日本に生息する在来種のタナゴは16種類で、種ごとに生息地域が限られる。近年、離れた場所で確認される事例が相次いでいることから、センターは発表済みの論文や書籍などを分析し、国内外来種の分布状況を調べた。

 研究結果によると、計14種類が生息域とは異なる地域で確認され、うち「イチモンジタナゴ」が19県で最も多かった。

 琵琶湖以西に分布する「カネヒラ」は岩手、新潟、三重など17都県で確認。本州(東北太平洋側を除く)、四国、九州に生息する「ヤリタナゴ」が北海道、宮城など13道県で見つかった。国の天然記念物「ミヤコタナゴ」も、茨城や千葉で確認された群れはDNA型の分析から別地域から持ち込まれた可能性が指摘されている。

 人為的な放流によって絶滅寸前の種が他地域で生き延びた例がある一方、持ち込まれた国内外来種の数が既存種を上回ったケースもあるという。伊藤研究員は「国内外来種の移入は在来種への負の影響が大きい。場合によっては駆除する選択肢も検討しなければならない」と話している。 

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