何が起きた?!憩いの水辺に異変 古代蓮、今年は「全滅」 川越・伊佐沼、特定外来種の食害原因か

 市民の憩いの水辺として親しまれている埼玉県川越市の伊佐沼に異変が起きている。農業用水のため池として整備されてきた同沼。毎年、7月上旬ともなれば行田蓮(はす)に負けないほどの美しいピンク色の古代蓮が花を咲かせる。それが今年は時期になっても一向に咲く気配がなく、全滅とさえ言われている。

 生育に手間がかかる古代ハスは「伊佐沼の蓮を咲かそう会」など地元のボランティア団体が手入れをしてきた。その結果、一昨年までは蓮の生育面積を広げてきた。ところが、昨年はわずか1~2割程度咲いただけ。同沼に隣接する農業ふれあいセンター職員によると、「利用者の皆さんから今年の蓮はどうしたのかと心配する声が多く聞かれる」という。

 本来なら既に大きな葉とともに花芽が水面から現れ、開花準備を始めてもいい時期。にもかかわらず、花芽が現れない状態が続いてきた。蓮は場所によって開花時期が異なる。同所では他よりも1カ月半ほど生育が遅いものの、それでも今年は異常だ。

 「咲かそう会」の会員の間では温暖化説をはじめ、農薬や生活排水説、さらにはコイやフナの生物原因説などの指摘が相次いだ。県環境科学国際センターに問い合わせたところ、他の地域では何ら問題がないことから、原因は特定外来種の仕業ではないかとの説明を受けたという。

 そこで同会のメンバーは、蓮の新芽を食べてしまう特定外来種のアメリカザリガニやカメを駆除するため、現在、伊佐沼を管理する荒川右岸用排水土地改良区の協力を得ながら捕獲のワナ作りを始めている。

 会長の原田秀一さん(71)は「特定外来種による食害に原因があるとみて対策を講じているが、専門家の意見を募り、原因究明と対策の手掛かりを得たい」と協力を呼びかけている。

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