外来「クビアカツヤカミキリ」、大阪から車を使って移動したか…奈良県内で被害急拡大

 幼虫が桜や梅といったバラ科の樹木を食べる特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」による被害が奈良県内で広がっている。被害木は2019年度に3本だったが、22年度には約600本まで急拡大しており、果樹栽培への影響も懸念されている。(前川和弘)

 同カミキリは中国やベトナムなどに生息。胸部が赤いのが特徴で、体長は2・5~4センチほど。約3年は幼虫として、桜や桃、梅などの樹木を食べて弱らせるといい、全国で倒木や果樹林への被害が確認されている。

 19年に県内で初めて被害が確認された。大阪府から車を使った移動により県内に入ったと考えられ、幹線道路がある大阪府との県境の御所市や香芝市など県西部で被害が多いという。

 急激な被害拡大を受けて、県は広く調査を実施する態勢を整えた。22年度に被害木を調査するボランティア「サクラ見守り隊」を募集。集まった約120人とともに半年間調査したところ、21年度の約6倍となる612本の被害木が確認された。県景観・自然環境課の担当者は「これでも被害木の一部だと考えられる」と説明する。

 対策では成虫を見つけたら踏んで駆除することが有効だ。また、幼虫のフンと木くずが混ざった「フラス」が木の外に排出されるため、被害木の目印となる。フラスが見つかった場合、木に薬剤を注入するといった対策も取ることができる。

 県は23年度もサクラ見守り隊として被害調査に協力するボランティアを募集する予定。県はフラスなどを見つけた場合、最寄りの市町村か、同課(0742・27・8757)まで連絡するよう呼びかけている。

 県の担当者は「他県では倒木や果樹への被害につながっているケースもある。県内で衰弱している木もあり、これ以上拡大しないように協力してほしい」としている。

 ◆クビアカツヤカミキリ=国内では2012年に初めて確認され、15年頃に関東や関西に生息域を広げた。国内に天敵となる生物がおらず、在来のカミキリムシの約10倍の繁殖力を持つことから急拡大し、18年に国の特定外来生物に指定された。

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