ジャンボタニシをやっつけろ 稲作の天敵、わな考案し特許取得 千葉県農大2年の岩沢裕来さん

 千葉県立農業大学校(東金市)の農学科2年、岩沢裕来(ゆら)さん(20)が、東京都内で2月に行われた「全国農業大学校等プロジェクト発表会」のプロジェクト発表・養成課程の部で最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。岩沢さんは稲作の“天敵”のスクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)を駆除するわなを考案し、減農薬に伴うブランド米を開発。受賞報告を受けた熊谷俊人知事は「ジャンボタニシは県の農業にとって大きな課題になっている。大変素晴らしい成果」とたたえた。

 ジャンボタニシは、田植え直後の柔らかい稲を食い荒らす食害が問題となっている。岩沢さんは100円ショップで販売しているプラスチック製容器を活用。ふたの中央に返しの付いた穴を開け、餌のドッグフードを入れて水田に埋め込む仕組みを考えた。ふたの周囲に小さな穴を開けることで水生昆虫が逃げられ、中に入ったジャンボタニシだけが酸欠状態になり死滅するのが特長。2月に特許を取得した。

 さらに、このわなで減農薬の稲作を実現。東金市内の水田周辺に生息する絶滅危惧種の「トウキョウサンショウウオ」の保護につなげ、その名前を冠したブランド米の開発にも取り組んだ。

 岩沢さんは「約1カ月で773頭のジャンボタニシを捕殺できた」「ドッグフードは安価で手に入れやすい」などと説明。また、わなは短時間で水田に埋められる上、強度があり埋設の状態にあるためアライグマなどの害獣に荒らされることもないとした。

 熊谷知事はわなを手に取り「安価で身近な品を使って編み出しており画期的」と感心しきり。ブランド米についても「ちょっとした工夫で商品価値を高めることが大事。絶滅危惧種の保護を結び付けることはSDGsの時代に見合った取り組み。ぜひ広げていきたい」と述べた。

 岩沢さんは4月から県立農業大学校の研究科に進学。卒業後は地元の富里市で就農を予定している。祖父母が同市でスイカやニンジンの栽培を行っており、自身は水田を借りて稲作を希望。「減農薬栽培を考えている。減農薬と生物保護を全国に広げたい」と夢を膨らませている。

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