外来魚・ハクレンを飼・肥料に 茨城県が実証事業、漁業収入に

 茨城県は2023年度、霞ケ浦北浦の外来魚を飼料や肥料として利用する実証事業を始める。近年、霞ケ浦北浦の漁獲量は激減し、主要魚種のワカサギは21年の漁獲量が19年の約3割にとどまる。県漁政課は「地域で資源を循環させ、新たな漁業収入を創出したい」という。

 同課によると、霞ケ浦北浦では、中国原産のコイ科ハクレンなどの外来魚が生息。戦中の1940年代に食料増産のため輸入されたソウギョが利根川で放流され、交ざっていたハクレンが湖に流入したとみられる。大量に水揚げされることもあるが食用になじまず、湖に戻したり焼却処分したりしている。

 ハクレンは全長最大1メートルと身が大きく、加工用の材料を安価に確保できる。外来魚を飼料や肥料にする取り組みは琵琶湖のブラックバスなどで進んでおり、同課は「魚粉や肥料の値段が高騰する中、ハクレンも活用できれば」と期待する。

 県は2023年度当初予算案でハクレンなどの未利用魚から魚粉を試作する事業に1100万円を計上。成分の分析や需要調査も行う。

 県が外来魚に着目した背景には、全国トップクラスだった霞ケ浦北浦のワカサギやテナガエビの漁獲量減少がある。19年に119トンの水揚げがあったワカサギは21年は35トンまで激減。テナガエビも19年の133トンに対し、21年は36トンまで落ち込んだ。同課によると、テナガエビの急減理由は不明だが、ワカサギは温暖化による夏場の水温の上昇が影響しているとみられる。

 霞ケ浦北浦では小規模漁業者を中心に404人(18年時点)が操業しており、主要魚種の変化は生活を直撃している。同課は「不漁が続く中、新たな発想で収入減に手を打ちたい」と話している。【木許はるみ】

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