奄美市環境保護審議会(会長=須山聡駒沢大学教授、委員14人)は31日、市内の小中学校や市街地に植えられ、市の環境を守る条例で保存樹に指定されている外来種のアカギと、新たに「種の保存法」の保護対象となった希少動植物3種について、市の指定を解除することを、安田壮平市長に答申した。須山会長が同日、市役所を訪れ安田壮平市長に答申書を手渡した。市は近く指定解除の告示を行い、正式に解除する。
保存樹の指定が解除されるのは、芦花部小中と大川小中、名瀬小の3校に植えられているアカギ4本と、名瀬小と県大島支庁前の永田川周辺に植栽されている林35本(うちアカギ31本)。
奄美大島では、過去に学校や公園などでアカギが植栽された経緯があり、樹齢100年以上の大木は、学校や地域のシンボルツリーとなっている。3校のアカギは1978年、永田川の林は79年にそれぞれ保存樹(林)に指定された。
一方でアカギは、繁殖力が強く、生態系に影響を及ぼす恐れがあるため、「侵略的外来種」に選定されている。世界自然遺産に登録された同島で、外来種が市の保存樹となっていることを問題視する意見も多かったことから、市は、有識者らでつくる同審議会で保存樹の在り方を審議。今月21日、全会一致で指定解除を決定した。
答申ではアカギを含む外来種について、「維持または伐採を含め、市民の多様な意見に配慮し、継続して議論する」ことなどを追記で求めており、須山会長は「長い年月を経て、市民に親しまれてきた歴史もある。アカギが奄美の生態系に及ぼす影響など学術的な調査とともに、市民の心情にも寄り添いながら、今後の管理の在り方を検討してもらいたい」と話した。
種の保存法の対象となり、指定解除される動植物は、ヒメシラヒゲラン、ハネナガチョウトンボ、キバナノセッコクの3種。このほか、別種であることが確認されたケイタオフウランは新和名のアマミカヤランに種名を変更する。
市は、答申を受け、2月1日から約3週間、市ホームページなどで保存樹の制度や指定基準などについて、広く市民から意見を聞くためパブリックコメントを実施することにしており、安田市長は「市民が親しみ、大切にしてきた経緯もある。指定解除したからと、すぐに伐採するのではなく、環境への影響なども踏まえ、どうするか検討していきたい」としている。