福島県内31市町村で被害確認 外来種のカミキリムシ 県が分布調査実施

 外来種のカミキリムシにより街路樹などが食い荒らされている問題で、福島県が初めて分布調査を実施した結果、県内31市町村で被害が確認された。県が21日、郡山市のユラックス熱海で開いた市町村等担当者会議で示した。担当者は「想像以上の早さで被害が広まっている。早急な対応が必要」としている。

 調査は6月から県内の街路樹や公園などの樹木で実施した。中国などが原産の「ツヤハダゴマダラカミキリ」による被害が20市町村、「サビイロクワカミキリ」による被害が19市町村で確認された。

 ツヤハダゴマダラカミキリの調査はトチノキやカツラ、カエデなどを対象に実施し、福島市や白河市で食害が確認された。調査した樹木のうち、被害が及んでいた割合は県南で53・4%、県北で38・3%に上った。

 サビイロクワカミキリの調査はイヌエンジュとエンジュを対象とした。郡山市や大玉村、天栄村など県中を中心に被害が出ており、調査した樹木のうち、県中は53・2%、県北は42・6%が被害を受けていた。被害本数の7割が民家の庭や農地などの樹木だった。

 県は対策として伐採を進める他、食害の初期段階で農薬を投与する方法を検討している。伐採費用は各市町村の負担となる。国の特定外来生物に指定された場合は国の交付金の支給対象になるため、県は国に登録を働きかける予定。

 担当者会議では、県農業総合センター浜地域研究所の三田村敏正専門員が調査を踏まえ「発見時はすでに生息域が拡大していた」と指摘した。郡山市の樹木医安斎由香里さんは「被害を防ぐには初動が大切。伐採などできる限りの対応をお願いしたい」と述べた。

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