ザリガニとカエルで「外来生物ラーメン」 山形 食べる駆除協力広がる

 ラムサール条約登録湿地の山形県鶴岡市の大山上池・下池で駆除された外来生物のウシガエルとアメリカザリガニを、地元の飲食店が活用する取り組みが広がっている。元々は食用として国内に入ったにもかかわらず、なじみが薄く普及しなかった。ここ数年、フランス料理の一品やラーメンに使われて身近な食材となり、提供する店舗が増加。売り上げの一部は駆除に充てられ、持続可能な環境保全のサイクルとして注目されている。

(酒田支局・梅木勝)

■振りかけるだけで

 上池・下池の保全活動を担う市自然交流学習館「ほとりあ」は2012年の開設から毎年、ザリガニ約2万匹、ウシガエル約1000匹を捕獲。14年以降は飲食店に協力を呼びかけて有効活用を目指したが、あまり注目されなかった。

 転機が訪れたのは20年。同館が山形県遊佐町の水産加工会社に頼み、ザリガニを粉末にして調味料のように使えるようにした。真っ赤な粉を料理に振りかけるだけで独特の風味や香ばしさを楽しめるため、用途が広がった。

■塩ゆでして具材に

 21年には、手焼きせんべいなどを作る同県三川町の福祉作業所や、鶴岡市のラーメン店「晴天の風」などがザリガニ粉末を購入。粉末入り商品の味が高く評価された。

 晴天の風は今年も11月11日から「外来生物ラーメン」(900円)を販売する。今月16日には発売に先駆け、ほとりあで今季のラーメンを披露し、提供した。具は塩ゆでしたザリガニに、バターとニンニクでソテーしたカエルの脚。塩白湯(パイタン)のスープには、ザリガニの粉末をかけた。味に加えて見栄えも良く、50食がすぐに完売した。

■「輸入するより安価」

 三川町のフランス料理店ビストロ・デ・ポンの佐藤啓志さん(59)は、15年からカエルをランチメニューに加えている。フランスではカエルは高級食材で、以前は輸入していたという。

 佐藤さんは「輸入するより安価で、皮をはいで調理に使える状態で提供してもらえるので助かる。環境保護にもつながり意義深い」と強調する。

■売り上げの一部寄付

 各店は売り上げの一部を寄付する仕組みで、駆除活動を下支えしている。

 ほとりあ副館長の上山剛司さん(41)は「駆除を続けた効果でザリガニもカエルも小型化した。今後はザリガニ粉末を鶏の餌にするなどして、用途をさらに広げたい。多くの人が関わり、持続可能な環境保全の仕組みを構築したい」と話している。

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