外来生物対策、交付金拡充へ 自治体による取り組み強化 環境省

 環境省は、カミツキガメやアライグマなど特定外来生物の防除に取り組む地方自治体への交付金を拡充する方針を固めた。

 各自治体による防除を支援し、国全体の対策強化を図る狙い。併せて自治体向けの防除マニュアルの作成や専門家の派遣なども検討する。2023年度予算概算要求に関連経費を盛り込む。

 特定外来生物は、海外から人為的に入ってきた動植物で、国内の生態系や人の身体、農林水産業への影響が懸念されている。これまでに156種類が指定された。

 今年5月に成立した改正外来生物法では、特定外来生物対策に関する都道府県と市町村の責務を明記。都道府県には被害の状況に応じ、拡大防止に向けた措置を講じることを義務付けた。市町村にも都道府県に準じた取り組みを求めた。

 同省はこれまでも、特定外来生物の生息調査や駆除などの経費を自治体に支援。22年度予算では、総額1億7200万円の「生物多様性保全推進交付金」の一部を活用し、取り組みを後押ししてきた。今回、各自治体の責務が明記されたことを受け、交付金の増額を図ると同時に、自治体がより柔軟に活用できるように仕組みも見直す考えだ。

 一方、同省は強い毒性を持つ特定外来生物「ヒアリ」の侵入や分布拡大を防ぐための対策も強化する方針だ。現在65の港湾で実施されているモニタリングの精度や頻度の向上を図る。

 ヒアリは、17年6月に国内で初めて確認されて以降、現在までに18都道府県で90件の事例が報告された。同省は「定着ぎりぎりの段階だ」とみて警戒を強めている。

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