外来種ザリガニ捕獲→粉砕→有機肥料に 北海道・美幌高校環境改善班

 北海道美幌町にある美幌高校環境改善班の生徒4人は、特定外来種生物・ウチダザリガニを用いた有機発酵肥料を作り出した。同校は美幌川などの自然環境を守るため、ウチダザリガニの駆除に取り組む。有効利用のため肥料にして野菜栽培を進める。今後、実証を重ねて“厄介者”だった外来種を活用した資源循環農法を確立していく考えだ。

 同校は環境を守る住民グループ「網走川流域の会」などと連携。駆除の他、自然環境の調査や保護活動などに取り組む。

 同校は、カニなどの甲殻類に含まれるキトサン成分が、発酵を促進する働きを持つことに着目、肥料として活用することにした。試験でラディッシュの収量は、ウチダザリガニの肥料を使った場合、約2倍になるなど上々の成果が見えてきた。

 ウチダザリガニは、16キロを捕獲して冷凍し、ハンマーなどで粉砕する。さらに、同校で作ったもみ殻燻炭(くんたん)25キロ、おから40キロ、米ぬか40キロを入れてかき混ぜるなどすれば、肥料の原料となる。これを紙袋に入れて被覆材をかけ、保温すると約3週間で完熟するという。

 現在、ウチダザリガニを入れない肥料も作り、化学肥料区も含め、3試験区でカボチャやニンジンを栽培。今後、生育や収穫物の比較調査などを行う。

 班長の槻間拓斗さん(17)は「効果を確認して数値化したい。今後は活動成果を多くの人に知ってもらい自然環境を守る活動を広めたい」と意気込む。

 生徒はザリガニの生態系や被害状況、利用法なども授業で学ぶ。講師を務める美幌博物館の町田善康学芸員は「ウチダザリガニの生息域が広がっている。減らすには特定外来種について誰もが知ることが重要。環境を守る人の輪を広めてほしい」と期待する。

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