希少な植物食い荒らす、生態系にも脅威…増えすぎた野生化ヤギ、どうする? 世界自然遺産の奄美大島

 鹿児島県は15日、奄美大島で昨夏に行った野生化したヤギ(ノヤギ)の生息状況調査で642匹を確認し、2014年時の1.3倍だったと明らかにした。海岸部や「奄美・沖縄」の世界自然遺産地域を含む山中での確認例が増加。希少植物の食害や生態系の悪化が懸念され、捕獲手法の確立に向けた実証実験を22年度実施する方針を示した。

 県が奄美市の奄美会館で開いた報告会で発表した。

 県自然保護課によると、奄美大島と加計呂麻島、請島、与路島の沿岸部で昨年7月、船上から生息調査をした。これに加え、マングースなど外来種対策で環境省が島全域に設置したセンサーカメラに07年以降、遺産登録地となっている山間部でもノヤギが映っていることが確認されている。

 県は22年度、同じ世界自然遺産の小笠原諸島(東京都)のノヤギ対策を参考に、わな中心の効果的な捕獲手法を検討。実証実験に着手する。地元の猟友会メンバーらは「担い手が確保できる現実的な手法を根付かせてほしい」と注文した。

 食用として飼われていたヤギが放置されて野生化。繁殖力が強く、元々多く見られた沿岸部から山間部に侵入しているとされる。島内5市町村は08年、放し飼いを禁止する条例を施行。猟友会が沿岸部を中心に駆除するが、山中では進んでいない。

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