ヒアリ発見場所に強制立ち入り 水際対策で法改正検討 環境省

 環境省は、強い毒を持つ特定外来生物「ヒアリ」の水際対策を大幅に強化する方針を固めた。

 港湾などでヒアリと疑われるアリが見つかった際、民間事業者が管理する敷地内のコンテナやその周辺への立ち入り調査を強制的に行えるようにする。発見時の連絡も法的に位置付ける考え。同省は来年の通常国会に外来生物法改正案を提出する方向で検討している。

 ヒアリがいる疑いのある場合、同省職員らが調査目的で現地に立ち入るには、現在は管理者の協力を得る必要がある。協力は任意のため、コンテナの運搬業務に支障が出るなどの理由で断られるケースがあるという。

 専門家がヒアリと確認すれば、強制的に立ち入ることができるが、判別作業には数日かかるため、防除が遅れて周囲に拡散する恐れがある。発見時の通報も、任意で協力を呼び掛けるレベルにとどまっている。

 そこで同省は、迅速に対応するため、職員らの立ち入りに法的な権限を与える方向だ。ヒアリを発見した事業者が自治体を通じて環境省に連絡する体制に法的根拠を持たせることも検討。通報をより強く促す仕組みにする。

 現在、ヒアリが混入している可能性のあるコンテナは、他の場所に移すことを規制できないが、法改正では拡散を防ぐため、専門家の判別が終わるまで移動を制限したい考えだ。

 ヒアリは攻撃性が極めて高く、刺されると強い痛みが生じ、最悪の場合死に至ることもある。国内に定着すると、公園で子どもが素足で遊べなくなるなど生活に多大な影響を与える恐れがある。 

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