「子供に喜んでもらうため放流」のオタマジャクシが特定外来生物? 環境省注意、自治会は駆除作業

 沖縄県宜野湾市の宇地泊(うちどまり)区自治会が、子供たちを連れて同市の「しちゃばる公園」付近にオタマジャクシを放流したことについて、特定外来生物であるシロアゴガエルの幼生だった可能性が高いとして、環境省沖縄奄美自然環境事務所から注意を受けていたことが分かった。

 J-CASTニュースは2021年10月1日、自治会と環境省に詳細を取材した。

■農場にいたオタマジャクシを放流

 宇地泊区自治会は2021年8月23日から25日にかけて、しちゃばる公園近くの水路にオタマジャクシを放流した。

 J-CASTニュースの10月1日の取材に応じた富名腰義政会長によれば、ラジオ体操をやり遂げた子供たちに喜んでもらうために実施したという。地域の人々からも、子供たちが自然と親しめるようメダカやカエル等の放流を望む声が寄せられていたとのことだ。

 放流には30~35人ほどの子どもたちが参加し、それぞれに10匹ほどのオタマジャクシを入れたペットボトルを配った。合計約400匹のオタマジャクがせせらぎに放たれた。

 その後、沖縄奄美自然環境事務所から連絡があり、放流したオタマジャクシが特定外来生物である可能性が高いと伝えられた。

 オタマジャクシは富名腰さんの所有する農場で採集したもの。富名腰さんは「農場に自然な状態でいたオタマジャクシが外来種ということは、専門ではないので分かりませんでした」と振り返った。

 自治会では現在、放流した水路を訪れ防除活動を行っているという。毎朝9時から1時間ほど現地を訪れ、これまでに約300匹のオタマジャクシを駆除したとのことだ。

「『放流したものがシロアゴガエルだった』という断定はできない」

 環境省沖縄奄美自然環境事務所によれば、自治会に連絡を行ったのは9月27日のこと。環境コンサルタントの嶋津信彦さんが前26日に、放流が行われた水路で特定外来生物のシロアゴガエルを発見したとツイッター上で投稿していたことを受けてのことだった。

「沖縄本島ではあちこちにシロアゴガエルが生息しているため、しちゃばる公園付近で発見されたオタマジャクシが放流されたものか、他所から入ってきたものなのかは分かりません。そのため我々としましては『放流したものがシロアゴガエルだった』という断定はできないのですが、可能性が高いと見ており、今後そういったことがないように注意喚起を行いました」

 環境省の担当者は、「放流」についても推奨できるものではないという見解を示す。 「他所から生き物を持ち込むと、見た目は似ていても遺伝的かく乱が起きてしまうなど様々な問題が起きる可能性があります。それよりも、生き物が本来のように住める環境をどう取り戻していくのか考えていかなければいけません」

 そのうえで外来種に関する啓発に努めると述べた。

「外来種や外来種に関する問題を知らなければ、こういったことが起きてしまう可能性がありますので、いろんな形で啓発を行っていきます。沖縄は外来種が多い地域です。そこに対して県民の皆様は、個人個人として何ができるか、興味関心を持っていただいて、これ以上広げないよう取り組んでいただけますと幸いです」

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