マングース、捕獲ゼロ続く 奄美大島 環境省20年度防除事業

 環境省は4日までに、鹿児島県奄美大島で進めるマングース防除事業の2020年度実績をまとめた。わなや探索犬によるマングースの捕獲はなく、捕獲ゼロの状態が約3年にわたって続いている。21年度から新たな防除実施計画に基づいて根絶の確認と防除完了に向けた作業を進め、早ければ23年度の「根絶宣言」を目指す。

 奄美大島のマングースは1979年にハブやネズミの駆除を目的に放され、急速に分布域を拡大。アマミノクロウサギなどの希少な在来生物を捕食して生態系に深刻な影響を及ぼした。環境省は2000年度に駆除に着手。05年度から外来生物法に基づく防除事業を開始し、捕獲を担うマングースバスターズを配置して駆除を進めた。

 捕獲総数は約3万2000匹。ピーク時に1万匹まで増えた推定生息数は駆除が進んで次第に低下し、18年度末には10匹以下に減った。

 20年度実績報告によると、奄美大島では18年4月に1匹が捕獲されて以降、捕獲がない状態が続いている。島内451カ所に設置した自動撮影カメラでも18年度以降、マングースは撮影されていない。環境省は「継続的にマングースが減少しており、現在の生息数は極めて少ない状態になっている」と分析する。

 一方、20年度は9件の目撃情報があり、聞き取り調査に基づいてわなの設置や探索犬による探索を実施。マングースの生息は確認されなかったが、同省は「残存個体群が生息している可能性も否定できない」と慎重な姿勢をみせる。

 21年度は新計画に基づいて、わなや探索犬、自動撮影カメラによるモニタリング調査を継続する。合わせて根絶確認の判断材料とするため、マングースの目撃情報を収集しており、同省は住民に情報提供を呼び掛けている。

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