「アメリカネナシカズラ」侵入 厄介な外来生物 徳之島 在来種、畑作物への影響懸念

 【徳之島】植物外来生物法の要注意外来生物に指定され、在来種や畑作物などに寄生して最終的に枯らすと危険視されるツル性植物の「アメリカネナシカズラ」。8月中旬以降、徳之島内でもその厄介者の侵入繁殖を確認。関係機関・団体は緊急の駆除作業に汗を流し、まん延防止への発見と情報提供を呼び掛けている。

 国立環境研究所・侵入生物データベースなどによると「アメリカネナシカズラ」はヒルガオ科の一年草の寄生植物。茎(つる)の太さは1ミリ程度、淡黄~淡黄赤色が特徴。自ら光合成ができず、寄主に巻きついて小突起状の寄生根(吸盤)で養分を搾取して成長。両性花で果実(種子)は「動物の胃中でも生存」して運ばれるなど繁殖力が強いとされる。

 生息環境も畑地や樹園地、牧草地、路傍、河川敷、海浜、栽培植物上など。非意図的移入(輸入穀物や緑化用種子への混入)により今やほぼ全国で確認。北海道ではジャガイモに寄生され枯死した被害例も、奄美大島や沖永良部島でも“既に手に負えない状況“とされるが、徳之島への侵入確認の記録はなかった。

 最初に繁殖が確認されたのは先月中旬、徳之島町徳和瀬の農道沿い。徳之島虹の会の美延睦美事務局長が、路傍に延長約30メートルにわたって繁殖しているのを発見。環境省や町行政関係者も交え約15人で駆除作業を展開した。

 ところがその数日後には、来島中だった植物研究家・鈴木英治氏(鹿児島大学国際島嶼教育研究センター特任教授)が、同町下久志の県道沿いでも確認。同集落区長ら住民たちへ同外来生物の脅威を周知後、延長約100メートルにわたってともに汗を流した。

 同要注意外来生物について、環境省徳之島管理官事務所の福井俊介管理官は「この島での確認記録はおそらく初めて。ジャガイモなど農作物への被害や景観悪化も懸念される。発見しだい行政機関へ連絡をいただき、早期駆除が大事になる」と話した。

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