川に外来のコイやティラピア 奄美大島自然保護協、生態系保全へ駆除

 島内5市町村でつくる奄美大島自然保護協議会が進めている、外来種のコイなど水生移入生物の駆除事業に関する2020年度の報告書がまとまった。調査を行った3市町村の河川でコイ19匹をはじめ、スッポンやナイルティラピアなどを確認し、捕獲した。報告書では希少なリュウキュウアユなど在来種への影響が懸念されるとして、駆除の継続と、外来種を川に放さないように地域住民への啓発を求めている。


 コイは川や池、湖などに生息する大型の淡水魚。国内では、琵琶湖など一部を除き、大半が外来種。水質浄化などを目的に、かつて全国で盛んに放流が行われた。雑食で生態系に影響を及ぼす恐れがあり、国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」に入っている。
 奄美大島では1995年、住用川の上流にある大和村の親水施設でコイとフナ計1500匹が放流された。その後、駆除が行われたが、下流に流れた個体が定着。島内の河川では、養殖場から逃げ出したスッポンや、ティラピアなどの外来種も定着しており、生態系への影響が懸念されている。
 駆除事業は、同島だけに生息するリュウキュウアユなど希少な水生生物の保護を目的に、同協議会が2016年度から進めている。奄美海洋生物研究会(興克樹会長)が受託し、20年7〜11月に奄美市、龍郷町、宇検村の河川で分布調査と駆除を実施した。
 コイは奄美市住用町の住用川下流で16匹、龍郷町の大美川で3匹が捕まった。大美川などでスッポン6匹、ナイルティラピア7匹が捕まったほか、大美川水系の半田川で観賞用熱帯魚のグリーンソードテールの大発生が確認され、436匹が捕獲された。
 住用川で捕まったコイの体長は44・5〜73センチ。報告書では大型の個体が確認されているとして、上流で供給源となっている新住用川ダムと合わせた集中的な駆除の継続を要望。外来種の完全駆除に向けて「奄美大島全域が希少な水生生物の生息地であることを地域住民に周知し、移入種を遺棄しないように啓発活動の拡充が求められる」としている。
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