ダム湖で外来種の水草大繁殖 一面黄緑色、長さ12キロ 名所「曽木の滝」に迫る

 鹿児島県のさつま町と伊佐市にまたがる鶴田ダム湖で、外来種の水草が大量発生し、上流の観光名所「曽木の滝」近くまで、長さ約12キロにわたって水面を黄緑色に覆っている。2019年も大繁殖したが、寒くなると枯れて湖底に沈んでヘドロ化し、水質悪化につながる恐れがあり、国土交通省鶴田ダム管理所が除去に追われている。【足立旬子】


 水草は、アフリカ原産のボタンウキクサと南米原産のホテイアオイ。温暖な河川や湖沼を好み、繁殖力が強い。いずれも観賞用に日本に持ち込まれ、外来種の中でも特に生態系に与える影響が大きく「日本の侵略的外来種ワースト100」に含まれている。
 19年は鶴田ダム湖の半分近くを覆い、管理所が約1億5000万円かけて除去した。ところが、20年も4月ごろから増え始め、除去していたが、8月中旬ごろから広がり始めた。9月には専用船による回収を始め、11月末時点で約20000トンを取り除いたが、それでも「繁殖が早く、追いつかない」という。21年3月までに全て除去することを目指している。
 今のところ、水質悪化は確認されていない。ただ、地元の川内川漁協によると、ダム湖はアユの産卵場となっている。これまでは春に稚魚を取って川の支流に放流していたが、20年は水草に覆われ、ほとんど稚魚が取れなかったという。漁協の担当者は「早く回収してほしい」と話す。
 曽木の滝は「東洋のナイアガラ」と呼ばれる観光スポットで、伊佐市の観光案内所の担当者は「水草がここまで滝に迫ったことはなく、観光客も驚いている」と話す。
 鹿児島県立博物館の久保紘史郎学芸主事は「昨冬が暖冬だったため、例年以上に越冬した個体が多く、夏から秋にかけて大繁殖したのではないか。気温が下がり、一斉に枯れると水質の悪化を招く。枯れる前に除去することや、越冬場所で増殖する前に除去することが必要だろう」と指摘する。
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