生態系に悪影響を及ぼす恐れがあり、家庭での飼育や販売が禁止される特定外来生物。私たちも馴染みが深いザリガニが、11月2日からその「特定外来生物」に指定されました。
ザリガニはもう飼えなくなってしまうのか、取材しました。
特定外来生物
特定外来生物の「カミツキガメ」
噛む力が非常に強く、人の指も食いちぎってしまうカミツキガメ。
生態系を破壊する恐れがあるほか、人にも危害を加える可能性がある「特定外来生物」です。
そんな恐ろしい特定外来生物に、11月2日から仲間入りしたのは・・・
子供たちも大好きな、ザリガニ!
爬虫類や両生類、甲殻類の輸入販売も手掛ける白輪剛史さんは観賞用として、大人のファンも多いと言います。
ザリガニは種類が多くコレクション性も
フロリダハマー
レップジャパン・白輪剛史代表「ザリガニの種類はたくさんあって、コレクション性があります。色の品種もあるので飼ってる人は多いです」
こちらは「フロリダハマー」。
観賞用にアメリカから輸入されたザリガニです。
レップジャパン・白輪剛史代表「ザリガニは、数千円から高いものでは10万円を超えるものもあります」
11月2日以降は新たに飼うことはできない
しかし、こうしたザリガニは11月2日以降、新たに飼うことはできません。
既に飼っている人は・・・
レップジャパン・白輪剛史代表「継続して飼う場合は許可が必要。ペット目的で新たに飼育することは禁止。100万円以下の罰金ですからね、必ず(許可を)取るようにしていただきたい」
なぜザリガニが「特定外来生物」なの?
なぜザリガニが「特定外来生物」なのか?
外来生物について詳しい専門家は、ザリガニの害は世界規模で起こっていると指摘します。
専門家 「野外において生態系に悪い影響を与えるだろうと。あとは農業被害ですね。各地で問題になっているザリガニの仲間、外来種として世界規模の問題になっています。日本でもやっと大規模に規制がかかってよかった」
メス単独で繁殖する「ミステリークレイフィッシュ」
こちらは「ミステリークレイフィッシュ」
オスがいなくてもメス単独で繁殖することができ、1匹の個体が1年間で数百匹にまで増えてしまいます。
専門家 「引き取って観察したんですが、1匹で繁殖しました。卵を何百とつけていて、そこからふ化した赤ちゃんも一匹ずつ飼育していたら、3カ月後には繁殖しました。爆発的に増えるザリガニと分かりました」
おなじみの「アメリカザリガニ」は規制の対象外
一方で・・・
専門家「ほら」
落合健悟記者「すごいですね」
専門家「たくさん入ってます。どれも若いです。20匹くらい入ってましたね」
池や田んぼにいる、おなじみの「アメリカザリガニ」。
今回、規制の対象ではありません。
ここは静岡市内にある池。
こんな所でも大繁殖していました。
専門家 「去年はこの池で600匹くらい捕れました。水路の隣が川なので、そこからどんどん入ってきてしまう。水草・メダカ・ヤゴも食べてしまう。トンボの卵も食べるので水辺の生き物が減っていく」
にもかかわず、なぜアメリカザリガニは今回、規制対象とならなかったのか?
専門家 「アメリカザリガニは、まだ飼ってる人が多い。規制対象となった時に、野外に放されるのではないか、問題が起こるのではないかということで、今回は対象から外れている。今回規制されないからといって、諦めていいわけではない。積極的に捕獲することが大事です」
東京ではNPOが駆除活動
水槽にひしめくアメリカザリガニ。
東京都・足立区の公園で見つかったザリガニで、地元のNPOが駆除活動を行っています。
桑袋ビオトープ公園 自然解説員・青山正志さん 「来園客に釣ってもらい、釣りあげたザリガニを駆除しています」
もう10年も活動を続けていますが、一向に数は減らず、毎年1万5000匹ほどが採集されています。
青山正志さん「アサザが年々減っていく」
青山正志さん 「公園ができたときに、池にアサザという水草を植えていたが、年々減って今は全く生えていない。アサザが減っていく量と反比例して、アメリカザリガニがどんどん増えている。おそらく、ザリガニに食べられたんだろうと…」
最後まで飼いきれるかどうか・・
専門家 「今のところ、アメリカザリガニを1匹2匹放しても法律に引っかかることはないです。これも問題の一つ。アメリカザリガニを飼うのはいいけれど、最後まで飼いきれるかどうか、増えたらどうするか、飼育の仕方も考えてください」
県内でも、田んぼに植えられた稲を食べられるなど被害が報告されていますが、もともとは人間が持ち込み、逃がしたもの。
犬や猫と同じように、責任を持って飼い続けなければなりません。
◆アメリカザリガニ◆
アメリカザリガニと1匹だけでも繁殖できるミステリークレイフィッシュ、形がよく似ていて見分けがつきにくそうです。
北海道や愛媛では、このミステリークレイフィッシュが野外でも見つかっているということです。
今回、規制の対象とはならないアメリカザリガニですが、そもそもは昭和の初期に食用ウシガエルの餌として日本に持ち込まれました。
その後、小学校や家庭で飼育されはじめ、飼いきれなくなった個体を人間が逃がした結果爆発的に増えてしまっています。
規制の対象ではありませんが、いま飼っている人はどうすればいいのか環境省に聞いてみると「繁殖を防ぐためオスとメスを別々の水槽で飼う。飼いきれない個体は野外に放さない」ということでした。
かわいそうですが、飼いきれないものは冷凍して処分するという方法があるとしています。
今回の規制が、生物を最後まで飼い続ける責任を改めて認識してもらうきっかけになればと思います。
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