高崎で外来カミキリの被害 県内有数の果樹生産地にも生息拡大 今年に入り伊勢崎、みどりにも広がる

 群馬県高崎市は27日、市内のモモ農園で、特定外来生物のクビアカツヤカミキリの樹木被害を確認したと発表した。これまで東毛地域のサクラへの被害が中心だったが、果樹生産が盛んな同市での確認は初めて。市や農業関係者は危機感を強め、月内に農家での被害状況を緊急調査するなどの対策を急ぎ、被害拡大の防止を図る。


◎7月初旬に15匹 全国2位のウメ生産地に危機
 クビアカツヤカミキリは幼虫がモモやプラム、ウメの樹木に入って食い荒らして最終的に枯死させ、農業生産や景観に深刻な被害を及ぼす恐れがある。
クビアカツヤカミキリの成虫(県提供)
 市は今月初旬に少なくとも15匹を確認。他の農家でも被害が起きている可能性があるため、県やJAと連携し、ウメ約400ヘクタールやモモ、プラム、ナシなど果樹園計500ヘクタール以上の被害調査を始めた。
 市独自の対策として、対象農家計655軒に発生防止や発生後の応急対応のために散布する薬剤、防虫ネットを配布する。
 農地以外でも名所のサクラに、9月までに幼虫を死滅させる薬剤を注入する。対象は観音山丘陵東面の約650本、城址公園・高崎公園の約500本。
 民有地のサクラ、ウメ、モモに被害が確認された場合は、土地所有者に薬剤や防虫ネットを配る。配布は8月17日〜10月30日。市有施設の敷地内は5、6月の調査で被害の報告はなかったが、再度調べる。
 群馬県のウメ生産量は和歌山県に次ぐ全国2位で、同市の箕郷、榛名の両地区はその主産地となっている。市農林課は「農家を守るため緊急に対策する」とし、両地区を管轄するJAはぐくみの担当者も「対応が遅れると大変。危機感を持ってしっかり対応したい」と話している。
クビアカツヤカミキリの生息が確認された群馬県内の自治体
 県によると昨年度までに樹木被害が確認されたのは太田、館林など東毛地域7市町。本年度は伊勢崎、みどりの両市でも確認され、高崎を含め被害は市町に広がっている。
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