オニバス再生へ緊急調査 氷見の十二町潟水郷公園 

 氷見市は21日、十二町潟水郷公園(同市十二町)で、国指定天然記念物のオニバス発生地(約1万5千平方メートル)の環境緊急調査を開始した。茎を荒らすアメリカザリガニやアカミミガメなどの外来種の生息状況を調べるため捕獲用のわな(アイカゴ)を仕掛けた。22日に引き揚げて分析する。 (高橋幸博)


 十二町潟のオニバスはここ40年間、自生が確認されておらず、再生対策の基礎資料とするため本年度から2年間調査する。既に文化庁の許可を受けており、5月はオニバスの生育に大切な発芽期であることから着手した。
 ひみラボ水族館(氷見市惣領)を拠点に自然保護に取り組むNPO法人Bioクラブに調査を委託。川上僚介代表理事(28)がウエットスーツを着て潟に入り、発生地の全域をカバーするようにアイカゴ4基を沈めた。22日にはもんどり網を仕掛けて魚を捕獲する。
 オニバスはスイレン科の一年草で絶滅危惧種。氷見市では大型のオニバスが多数見られ1923年、十二町潟上流の万尾(もお)川が発生地として国天然記念物に指定された。68年には川の改修工事などで見られなくなり、翌69年に指定地が十二町潟の中の上流域に変更された。
 この日の作業では、潟の底に粘土質や砂利、ヘドロが堆積した場所があることが分かった。オニバスと同じ一年草のヒシも生えていた。
 本年度は8月に同様の調査を行うとともに、ドローンを使ってガマやヨシの分布状況などを調べる。
 市教委の西尾正輝主任学芸員(40)は「専門家の意見も聞きながら再生に向けた具体策を探りたい」と話した。
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