最重要保護生物「トウキョウサンショウウオ」大生息地 東金市内で新たに発見

 千葉県レッドデータブックで最重要保護生物に指定されている両生類「トウキョウサンショウウオ」の大生息地が、東金市内で新たに見つかった。トウキョウサンショウウオに詳しい城西国際大学環境社会学部の国武陽子准教授は「県内有数と言えるぐらいの非常に貴重な生息地」と話した。


 同ブックによると、トウキョウサンショウウオはサンショウウオ科の一種で、群馬県を除く関東地方と福島県相馬地方に分布する日本固有種。千葉県内では房総半島南部や九十九里平野で生息が確認されている。湧き水のたまりや水田の溝で成長し、成体は森林などに潜んでいる。森林植生の破壊や外来種アライグマの捕食などで数が減り、「放置すれば近々絶滅」する最重要保護生物に指定されている。
 新たな生息地は平野部の稲作地帯にある。県立農業大学校農学科2年の斎藤竜太郎さん(20)が5月11日、農業水路に体長数センチの幼体十数匹がいるのを偶然に発見。斎藤さんらが後日さらに数えると、同水路の約100メートルの範囲内に少なくとも50匹がいることが分かった。
 15日に現地を確認した国武准教授によると、今回のような保全指定地域以外の場所で一度に数十匹が見つかるのはまれという。成長期の2〜7月に水路に水が絶えず、成体が潜める広葉樹の屋敷林が隣接していることなど好条件がそろった結果とみられる。
 国武准教授は「房総丘陵や山武地域の生息地が壊滅状態の中、非常に貴重な発見。近々、個体数を詳しく調べたい」と意義を強調した。
 斎藤さんは「オタマジャクシに混じって細長いのがいると思ったらトウキョウサンショウウオで、思わず『おーっ!』と声を上げてしまった」と最初の発見時の興奮を振り返った。
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