外来カミキリの拡大阻止へ 県が対策強化 防止エリアの設定やボランティアの養成で封じ込め目指す

 特定外来生物のクビアカツヤカミキリによる被害がサクラなどの樹木に広がっていることを受け、群馬県は本年度、対策を強化する。被害の最前線となっている東毛地域に帯状の「侵入防止エリア」を設定。エリア内のサクラに薬剤を注入して駆除し、西への被害拡大を封じ込める。講習を受けた県民を「クビアカリポーター」に任命し、被害の早期発見、対応につなげる。


◎サクラや果樹を守れ 昨年成果の駆除奨励金も
 太田市を中心に被害がまだ出ていない地域に侵入防止エリアを設ける。幼虫の活動が活発化する5月以降、エリア内で選定した民有地を含むサクラに薬剤を注入して駆除し、これ以上、生息域が広がらないようにする。エリアには桐生、伊勢崎、みどりの3市も含める可能性がある。
 クビアカツヤカミキリ対策で侵入防止エリアを設けるのは、県独自のアイデアという。市町村独自の対策に加え、広域の対応も重要と判断した。
 「クビアカリポーター」は被害を見つけた際に自治体に連絡してもらう県民ボランティア。行政だけでは難しい被害状況の確認強化につなげる。市町村と連携して対策の講習会を行い、受講者を任命する。
 県は本年度一般会計当初予算に対策費用として約3300万円を盛り込んだ。県自然環境課は、外来カミキリの生息が拡大すれば大きな被害が予想されるとして「サクラの名所をはじめ県内の木々を守りたい」としている。
 クビアカツヤカミキリは幼虫が木を食い荒らし、弱らせたり枯らしたりする。群馬県は2015年7月に館林市で確認され、急速に拡大。昨年度、東毛地域7市町のサクラやウメ、モモなどの樹木3561本で被害が確認された。西へ勢力を広げつつあり、サクラの名所や果樹栽培への被害が懸念されている。
 被害が深刻な館林市は昨年度、成虫を駆除した市民に奨励金などを出したり、被害木に防虫ネットを配布したりする対策を実施。一定の成果を挙げており、本年度も継続する方針だ。
+Yahoo!ニュース-地域-上毛新聞