「琵琶湖の深呼吸」全層循環、今年も確認されず 暖冬影響か

 滋賀県は1日、琵琶湖で酸素を多く含む表層の水が下層の水と混ざり合う「全層循環」が、昨冬に続いて今冬も確認されなかったと発表した。暖冬の影響とみられるが、水中の酸素濃度は昨年より回復傾向といい、県は「生態系への大きな影響はなく、今後も調査を続けたい」としている。


 全層循環は「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれ、北湖で冬場に冷えた表層の水が沈下し、底層の水と混ざり合い、湖底まで酸素が行き渡る現象。例年2月上旬ごろに確認されるが、昨年は暖冬の影響で、1979年の調査開始以来、初めて確認されなかった。
 今冬も昨年同様、今津沖(高島市)の水深90メートルの調査地点「第一湖盆」で、同80メートルまでしか表層の水が到達していなかった。一方で3月23日の調査では、湖底付近の酸素濃度は1リットル当たり8・5〜9・3ミリグラムで、昨年同時期に比べ1〜2ポイント高かった。
 県琵琶湖保全再生課は「昨年同様に暖冬で、表層と底層の水温差が縮まらず混ざりにくい状況だった」と分析。ヨコエビなど湖底生物への影響は確認できていないが、全層循環の未確認は「未知の状況」だとして、今後も継続的な調査を続けるとしている。
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