2005年05月01日

Another road to the CLASSIC:PART 6

basswave短期集中レポート

バスマスタークラシックへの「もうひとつの道」
PART 6:トーナメント最終日

 4日間の日程で開催されたCITGO BASSフェデレーション・チャンピオンシップは、エド・コーエンの優勝で幕を閉じた。1994年、ブライアン・カーチャルがチャンピオンシップを勝ち抜きバスマスター・クラシックで優勝したあの年、そのチャンピオンシップでイースタン組の2位でフィニッシュしたのがコーエンだった。試合後、1位でクラシック出場を決めたカーチャルに「ブライアン、君はこの私に勝ってクラシックに出るんだ。クラシックでもプロ連中をやっつけてやれ!」と激励しビッグマッチへと送り出した。同じイースタンに所属するアングラーとしてコーエンは若いカーチャルを応援していたが、カーチャルはクラシック制覇の数ヶ月後、不運にも飛行機事故で他界する。「あれから11年も経ってしまったが、私はやっとこのブライアンの顔が描かれたトロフィーを持って帰れる。今日のビクトリーは、彼に捧げる」と告げると、会場は大きな拍手とセンチメンタルなムードに包まれた。


(写真上)ジェイミー・フラリックはノーザン組1位、総合2位に入賞。同じノーザン組2位のタッド・テイクスには約9Lbの差をつけ、クラシック出場を決めた。(写真下)佐藤さんと同じウェスタン組の属したデイブ・パルマーは総合3位でフィニッシュした

 ブライアン・カーチャルの優勝はBASS フェデレーション・アングラーだけでなく、数多くのバスアングラーによって語り継がれている。アマチュアアングラーで構成されているこの組織を代表してクラシックに出場した青年が、プロアングラーの活躍を押しのけて優勝してしまったのである。フェデレーション・アングラーはそれまでクラシック出場を第一の目標として鍛錬してきたが、クラシック優勝も夢ではないのをカーチャルが身をもって証明してくれた。その後カーチャルは他界し、彼の名は伝説となる。今大会でMCとしてカムバックしたレイ・スコットも自伝“BASS BOSS”でまる1章をカーチャルに捧げ、フェデレーション・アングラーの真意を説いているほどである。

 エド・コーエンもまたカーチャルを愛したアングラーのひとりだった。今大会でコーエンはカーチャルのメモリアル・キャップを着用し故人へのリスペクトを示した。今後もブライアンの父親が運営するブライアン・カーチャル・ファンド(基金)の手助けをしていくという。
 ブライアン・カーチャルが1994年にフェデレーション・チャンピオンシップを勝ち抜いて、さらにクラシックも制覇した話は有名だが、実はカーチャルは1993年にもクラシックに出場している。そのときは41位でフィニッシュした。 

 決勝進出はならなかった佐藤義和さんとその他40名は、この2日間、いわゆる“バケーション”を満喫した。決勝進出を果たし、クラシック出場を夢見てフロリダ入りをしたわけで、心からバケーションを楽しめたとは思えないが、空いた時間を利用して佐藤さんはオーランドのバスプロショップスや、もう1度レイク・トホ湖畔を散歩するなどして過ごした。
 トホは週末というのもあり、多くの釣り客でにぎわっており、それを眺めながら「(大会の)結果がどうとかは別として、せっかくフロリダに来てるんだから、もうちょっと釣りがしたかった(笑)」と苦笑しながらも本音をもらした。
 「今回、アメリカではじめて釣りをして思ったのは、今日本からこっちに来てトーナメントに出てる選手がいるけど、ホントに大変だろうなーって思うよ。私は主催者がボートを用意してくれたし、エンジンが壊れたらチェックしてくれるし。でも彼らは自分たちで全部やるわけでしょ。移動とか、練習とか、トラブル、食事、洗濯とかそういうのを乗り越えて、やっとトーナメントに出られるんだから。ホントにリスペクトするよ」と米大会転戦の苦労を改めて感じた。

 
(写真左)ジンバブエ代表のジェリー・ユースタは、フェデレーション・チャンピオンシップを勝ち抜いてクラシックに4度クオリファイされるという伝説的記録を達成した。「今回はグルーヴを感じられなくて、出場権を得られるとは思っていなかった」と語った。(写真右)佐藤さんとイタリア代表のフランコ・マンチーニ。佐藤さんが、チャンピオンシップで親好を深めた仲間のひとり
  またフェデレーション・チャンピオンシップには、プロトーナメントとは異なった雰囲気が充満していた。経済的、また時間的、家族的など何らかの理由でプロ戦出場を断念し、彼らはフェデレーションを主戦場にしている。同じ境遇のアングラーが全米、そして5つの国を代表して今大会に集結。そういった仲間意識からだろう、チャンピオンシップ出場選手の多くが「日本からわざわざ来たのか。釣れてるか」と気軽に佐藤さんに話かけた。今回サザン組からクラシック出場を勝ち取ったジェフ・ヘイガーは佐藤さんに「私はプリプラクティスで来ていたが、君はできなかっただろう。状況を教えてあげるよ。今は減水中で……」と解説し、初日が終わるとまた「釣れてるか? そうか、じゃぁスピナーベイトを使え。あのルアーもいい」と隔たりなく接してくれた。
 佐藤さんは「あんなに教えてくれて、ありがたいよね。相手が言ってることはわかるけど、感謝を伝えたくてもそこまで英語ができないし。チャンピオンシップに帰って来ると想定して英語を勉強しておかないと(笑)」と大会を振り返った。


ウォルト・ディズニーリゾート内にあるワイド・ワールド・オブ・スポーツで行なわれた「キャスティング・キッズ」のセミファイナル。ここで選ばれたトップ10がクラシックで開催されるファイナルに進出する
+成績

+PART 1:参戦直前の佐藤義和さんにインタビュー
+PART 2:本戦直前プラクティス
+PART 3:トーナメント初日
+PART 4:トーナメント2日め
+PART 5:トーナメント3日め
+PART 6:トーナメント最終日
+PART 7:最終話

Posted by DODGE at 2005年05月01日 13:16 in 短期集中レポート

mark