春採湖、ウチダザリガニ激減 捕獲2匹、20年の駆除活動成果 北海道釧路市

 釧路市春採湖で、ヒブナなどの生息に悪影響を与えていた特定外来生物のウチダザリガニが激減し、今年度の調査では捕獲数が2匹にまで減った。減少の原因は不明だが、調査を行ったNPO法人環境把握推進ネットワーク―PEGの照井滋晴理事長は「20年近く駆除活動を行ってきた成果。これだけ長い期間継続して駆除に取り組んだ例は他にない」と話している。

 春採湖は「ヒブナ生息地」として、国の天然記念物に指定されているが、外部から持ち込まれたウチダザリガニが繁殖して大量に水草を捕食した。そのため、春採湖で以前は6種類確認されていた水草が2006年には2種類に減ってしまい、水草に産卵するヒブナなどの魚類や水鳥の生息環境が悪化していた。そこで、市は08年度から本格的なウチダザリガニ捕獲事業を開始するとともに、市民参加型の捕獲体験教室を実施するなど特定外来生物について啓発を行った。

 ウチダザリガニの捕獲は、湖岸一円の140地点に漁具の「どう」を仕掛けて引き上げるという方法で、6月と9月に5日間ずつ行う。今年度の調査で捕獲した数は6月が0匹、9月が2匹(雄と雌の成熟個体)だった。

 捕獲数は16年度の4271匹がピークで、その後減少傾向だったが、23年度は891匹、24年度は174匹と急激に減った。ヒブナとフナの産卵環境については、春採湖調査会が「相当程度回復している」と春採湖レポートにまとめている。

 ザリガニの生態に詳しい蛭田眞一道教育大学名誉教授は「ウチダザリガニが極端に減った原因は分からないが、水草は03年ごろのいい状態に回復してきた」と評価。照井理事長は「春採湖は閉鎖的な湖で入ってくる川がないので、しっかり駆除すれば効果が出る。市も毎年啓蒙(けいもう)イベントを行っており、地域住民に浸透していることも大きい」と話している。

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