京都府宮津市喜多の大手川親水公園に、宮津天橋高フィールド探究部の部員がばらばらと集まってくる。夕方の5時ごろ。部活は放課後の2時間だが、決まった集合時間はない。各自の予定に合わせ、途中で帰宅もできる。
この日は、大手川に漬かって生き物の調査をしたり、水路を作るためスコップで土砂を取り除いたりした。部の名が示すように、活動の足場は丹後の豊かな自然だ。「(考えるだけの)頭でっかちにならないでほしい」。顧問の教諭(43)がほほ笑んだ。
部は10年前に同好会としてスタート。当初、10人程度しかいなかった部員は、今では47人に増えた。「生物多様性を豊かに」「川にかかわる人を増やす」をモットーに、さまざまな調査などを行う。
部活は自由だが、個々の目標ははっきりしている。部長で3年の生徒(18)は、草花の外来種「オオキンケイギク」駆除と活用をテーマに、この外来種の成分について調べている。川にいる水生昆虫を調査し、その昆虫の影響を受けながら生息する他の生物を探す部員もいる。
部では成果を発信することを重視する。これまでに日本植物学会や福知山公立大の教員有志らによる「田舎力甲子園」に参加、他校の生徒や研究者と交流し、刺激を受けてきた。
その評価も高い。3年前には、「日本自然保護大賞」を京滋の高校で初めて受賞。昨年度の全国ユース環境活動発表大会でも全国大会に出場した。
現在は、上宮津地区の自治会と協力し、川底の段差によって魚が上がれなくなった箇所に「魚道」を造る計画を進める。部員の関心事は、地域の課題を解決する動きにも広がっている。3年の生徒(18)は「地元の自然とふれあうことができ、地域の人とつながることが部活の魅力」と話している。
活動は木曜日以外の平日の放課後と土、日曜のいずれかで、主に学校近くの河川で調査をする。大手川の環境整備と地域住民とのコミュニティーづくりをテーマに、全国ユース環境活動発表大会にも参加した。