「生き物供養碑」本格調査 カエルに小アユ…琵琶湖博物館が初実施

 滋賀県立琵琶湖博物館が県内で身近な生物の死を弔うために建てられた「生き物供養碑」の本格的な調査を初めて実施している。同博物館の橋本道範学芸員は「生き物供養碑を通して、生物を殺さないと生きていけなかった人間の私たちが生き物に対してどういう思いを抱いてきたかがわかる」と意義を語り、県民に身近な生き物供養碑についての情報提供を求めている。【飯塚りりん】

 生き物供養碑は、江戸時代以降に家畜や魚類、虫など身近な生き物の死を弔うために建てられた石碑で、特に近代になってからは建立が盛んになった。県などによると、全国各地で1141基が確認されているという。

 現在、県内で発見されている生き物供養碑は魚類やカエル、馬などの約50基。県醒井養鱒(さめがいようそん)場(米原市上丹生)では1935年に、食用カエルの養殖試験を始め、県が輸出冷凍食用カエルの主産地となったことから「かえるの碑」が建てられた。40年には放流事業を開始してから犠牲になってきた小アユを供養し、小アユ族の繁栄と水産資源の開発に貢献することを願った「小鮎塚」が建てられた。これまで犠牲になった約3億匹の供養をしている。そのほか、湖東、湖南地域を中心に農耕や日清・日露戦争に徴用された馬を供養する供養碑が多く見つかっている。橋本学芸員は「琵琶湖があるので、淡水魚の供養碑が多いのではないか」と予想する。

 これまで供養碑に関する県内での本格的な調査は実施されておらず、全容が明らかになっていなかったことから、同博物館ではフィールドリポーター(市民調査員)約210人が主体となって、約4カ月間の調査を行うことを決めた。調査員は見つけた供養碑の概要や碑文の内容などを同博物館に送り、博物館は来年度中に集計結果を公表するという。県民も参加できる。

 調査期間は来年1月31日まで。問い合わせは同博物館(077・568・4811)。

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