福島県相馬市の松川浦に生息する巻貝「サキグロタマツメタ」。アサリなどの二枚貝を捕食する外来種で「干潟のブラックバス」と呼ばれている。 この貝から漁場を守ろうと漁師による駆除作業が行われている。
10月30日午前8時、松川浦集まった地元の漁師たち。 船を走らせて向かった先はアサリの漁場だ。しかし、探しているのは「アサリ」ではない。女性漁師は「ツメタガイという貝を食べる貝なんですけど、それを獲ってます。今卵なので、こういう卵を獲っています」と話す。
「サキグロタマツメタ」。主に中国や朝鮮半島に生息する外来種で、旺盛な食欲でアサリを食べつくすことから「干潟のブラックバス」と呼ばれている。
福島テレビ・氏家彦斗記者:「松川浦の浅瀬を歩いてみますと、このような穴のあいたアサリを見つけることが出来ます。これがツメタガイによる被害だということです」
松川浦で姿が確認されたのは2002年から。移植用に連れてきたアサリに混じっていたものが増殖したと見られている。 福島県によると、駆除数は統計を取り始めて以降は2017年がピークで、この年は推定160トンものアサリが被害にあったとみられている。
女性漁師は「増えているので、繁殖力が良いので、あまり増えないようにしたいんですけど」と話す。サキグロタマツメタの駆除はすべて手作業。10月は産卵時期のため卵塊がないか、アサリ漁師約70人が総出で探す。30日の活動では、卵12.3キロ、成貝0.8キロを駆除。産卵数はここ数年横ばいの傾向が続いているが、油断はできない。
松川浦地区の菊地寛さんは「増えないことを期待しているわけだよなあ。(漁師)全員出てもらって少しでも多く(駆除して)少なくするために作業は続けたいなと思っています」という。
漁師を悩ませる「天敵」の存在。松川浦のアサリ漁は、来年4月から始まる。