トンボの楽園として親しまれている桶ケ谷沼(磐田市岩井)の生態系を守ろうと、トンボの幼虫を捕食する外来種のミシシッピアカミミガメの駆除・堆肥化に地元の磐田農業高生が乗り出した。7月下旬には、生徒が自作した4種類のわなを沼に設置。捕獲したカメを生徒たちが堆肥に加工し、野菜の栽培などへの活用を目指す。
わなの多くは甲羅干しをするカメの習性を利用。水面からカメが人工芝製のスロープをつたって登り、自らの重みで衣装ケースの中に落ちる仕掛けを用意した。市販のふた付きごみ箱に細工をしたり、魚肉ソーセージでおびきよせたりと工夫を凝らした。
開発した生産流通科3年6人は、NPO法人「桶ケ谷沼を考える会」のメンバーとともに腰丈ほどの沼に入り、わなを水面から少し見える位置に沈めた。田中遥人さん(17)は「泥が多くて足を取られ、設置するのが難しかった。生態系が崩れないように守りたい」と話した。
アカミミガメは1950年代後半に米国から幼体が輸入され、縁日などで売られた。一部が放流され、生態系への影響や農作物被害が出ている。桶ケ谷沼では、環境省指定の絶滅危惧種「ベッコウトンボ」のヤゴが捕食される被害などが起きている。
今後は捕獲したカメを冷凍加工し、堆肥化の実証実験に取り組む。リーダーの竹田菜南さん(18)は「捕獲したカメの命も無駄にしないように、作物の堆肥として利用する循環をつくりたい」と語った。