秋になると、河川敷や鉄道沿線で、黄色い花を咲かせる植物を見たことありませんか?この植物、外来種で「セイタカアワダチソウ」といいます。名前の通り、背が高い植物で、道に倒れてくると通行の邪魔になる、厄介者の一面もあります。しかし、「この植物の背が低くなっているのでは」という噂もあるのだそう。
一体どういうことなのか、その真相を取材しました。
島根県安来市の道の駅あらエッサの近くに群がって生える植物、「セイタカアワダチソウ」。毎年、10月~11月ごろにかけて、全国で花を咲かせ、黄色い絨毯のように一面の景色を彩ります。
キク科の多年草の「セイタカアワダチソウ」は、北米原産の外来種。繁殖力が強く、在来種を駆逐するなどして生態系を変えてしまう恐れもあることから、環境省が「要注意外来生物」に指定しています。
また、名前の通り背が高く、国立環境研究所によりますと、大きいものでは、2.5メートルにも成長します。
この「セイタカアワダチソウ」を巡っては、国道9号を管理している松江国道事務所が、頭を悩ませています。
というのも…
小林健和 キャスター
「私たち、国道9号沿いに来ていますけども、ここもセイタカアワダチソウが群生していて、かなり道路側に張り出していますね」
松江国道事務所 松江維持出張所 水田雄士 所長
「道路に倒れこんでくると通行の支障になるので、そういった場合はあらかじめ除草して交通に支障がないように配慮しています」
背が高いため、道路沿いから倒れてくると歩道や車道に侵入し、歩行や車の運転の妨げになる場合もあるといいます。
大きいもので2.5メートルあるというセイタカアワダチソウ。しかし、実際に背を比べてみると…
小林健和 キャスター
「私の身長が176センチです。本来であれば、私を見下ろすほどに成長するセイタカアワダチソウなんですが、このように私の肩までの高さというものが非常に多いです。実は年々背が低くなっているという話があるのはご存じでしょうか?」
国道9号沿いでは、高さ1.7メートルほどのセイタカアワダチソウが目立ちました。じつは、背が年々低くなっているという噂があるのです。
道路を管理している担当者も、背の高さの変化を感じているようで…
松江国道事務所 松江維持出張所 水田雄士 所長
「ところどころ道路を巡回している時、今までより背が低いセイタカアワダチソウが生えているような場所があって、実感としては背が低くなっているのかなと思います」
本当に背は低くなっているのか、真相を専門家に聞いてみました。
鳥取県立博物館 清末幸久 学芸員
「確かにそういう現象が見られる場所があります。たくさん見られる事例は、刈り取りです。1回刈り取った後で、その茎の横から、もう1回頑張って立ち上がって花を咲かせているというセイタカアワダチソウは、背が低くなります。機械で刈り取っている場所の近くとか、道路脇で刈っているだろうなという所で低くなっているのは、ほとんどそういう例ではないかと思います」
実際に、刈り取られ続けた結果、背が低くなっている事例もあるようです。
鳥取県立博物館 清末幸久 学芸員
「茎の近くまで辿っていくと、刈り取られた跡があります。そこから伸びていたりというのがあるので、2回目に伸びたやつは短くなっているんだなというのが見て取れます」
刈り取られた後に伸びたセイタカアワダチソウは、1回目ほどは背が高く成長しないようです。
では、同じ場所で刈り取りを続けると、背は低くなり続けるのでしょうか?
鳥取県立博物館 清末幸久 学芸員
「当然、刈り取られると光合成量が少なくなっているわけですから、それをずっと続けていくと小さくなっていく、ということはあるかもわからないけど、まだそこは、十分確かめられていないです」
切られ続けて背が低くなったとしても生えてくる、セイタカアワダチソウ。繁殖力が強く厄介者であることに変わりないようです。