ザリガニ、ミドリガメ捨てちゃダメ 改正外来生物法施行から3カ月

 アメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)の野外への放出などを禁止する改正外来生物法が施行されて3カ月が過ぎた。2種はともにペットとして身近なこともあり、専門家は「生態を知った上で、最後まで責任を持って育ててほしい」と訴えている。

 2種は汚れた水の中でも生きられる生命力や強い繁殖力がある。ともに雑食で、アメリカザリガニは固有種のニホンザリガニを食べ、アカミミガメはカモのヒナを食べることもあるという。

 特にアメリカザリガニはため池の土手や田んぼのあぜに穴を掘って壊したり、伸びたイネを倒したりするなど、農業に与える影響が指摘されている。餌となる水草を食い尽くすことで沼や池などの水が濁り、悪臭を放つこともある。

 水生生物に詳しいアクアマリンふくしま(いわき市)の城倉昴さんは法改正を機に「改めて生き物の生態を調べ、自然に放った場合はどのような状況になるのかを知ってほしい」と語る。生き物の寿命まで責任を持って育てる覚悟で飼うべきだとして「途中で飼えなくなった場合は責任を持って飼える人に預けたり、駆除などを行う施設に相談したりするなど、自然に放つ以外の対応を取ってほしい」と呼びかけている。

子どもたちに教える

 「ゴンちゃんが見たい」。福島県天栄村の湯本小、湯本幼稚園の子どもたちが声を弾ませて職員室にやって来る。20年以上水槽で飼っているアカミミガメを観察するためだ。「寝ているのかな」「顔出した」と興味深そうに水槽の中をのぞく。

 改正法では2種をペットとして飼うことを規制していない。同校は「身近な生き物」として、アメリカザリガニなどが生息する場所や飼育方法などを授業で教えている。法改正を機に、外来種が自然に与える影響も学んでもらう方針だ。柳沼信之校長は「なぜ禁止されたのかを子どもたちに伝えていきたい」と話す。

福島県内各地で駆除活動

 アカミミガメが観察用として飼われている一方で、福島県内の池では依然としてアメリカザリガニが確認されており、水環境の保全に取り組む関係者から環境への影響を懸念する声は消えない。県内各地では駆除活動が展開されている。

 ヘラブナ釣り愛好家でつくる「福島へら鮒会」は水環境の保全活動として、須賀川市の藤沼湖自然公園で清掃や外来種の調査に取り組んだ。その結果、園内の池2カ所で約40匹のアメリカザリガニを見つけた。会員は「誰かが放置したものが繁殖したのではないか。自然界全体で見た場合、これはまだ一部だろう」と推測する。(千葉あすか)

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 改正外来生物法 6月1日からアメリカザリガニとアカミミガメ(ミドリガメ)を「条件付特定外来生物」に指定。販売目的の飼育や販売・購入、野外への放出などが禁止された。違反すると最大で3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科され、誤って逃がしてしまっても罰則を受ける可能性がある。ペットとして飼うことや譲渡は規制されていない。

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