長良川上流部の岐阜県郡上市白鳥町中西にある農業用「西坂ため池」で肉食性の特定外来生物「コクチバス」の繁殖が確認された問題で、県と流域7漁協は、駆除作業の対象範囲を長良川全域に広げることを決めた。生息域調査の結果、「昨年から今年にかけて0~1歳魚が長良川の本流へ流出したと考えるのが合理的」と結論づけた。今後は、鮎の網漁を行う漁協組合員に駆除への協力を依頼するほか、渓流釣りなどの愛好家に目撃や捕獲の情報を管内の漁協へ寄せるように呼びかける。
先月27日のため池駆除に続き、8月1、2日には県水産研究所がため池より下流で生息域を調べるための電気ショッカーを使った駆除を実施。長良川の合流点まで約800メートルの曽部地川で昨年春に生まれた1歳魚1匹を、約2千メートルの農業用水路で1歳魚1匹と今春に生まれた0歳魚2匹を見つけた。2歳魚ごろから繁殖が可能になるため、ため池で生まれた個体とみられる。
長良川では今後、お盆前後にかけて鮎の網漁が盛んになる。体長10~20センチの1歳魚は網に掛かるため、漁協組合員に駆除に対する協力を求めていく。0歳魚は網の目をかいくぐるが、生息域を絞ることでさらなる対策が立てられるため情報収集に力を入れる。
県里川振興課は「流出が確認されたのが、繁殖できない0~1歳魚だったのは不幸中の幸い。来年5~6月の繁殖期までに1歳魚をなんとか取り切るか、繁殖できないほど低密度にしていきたい」としている。