野山の「厄介者」の外来種「セイタカアワダチソウ」からアロマオイル 地域の恵みに変える(島根・大田市)

 背が高く、黄色い花をつけたセイタカアワダチソウ、アメリカ原産の外来種で繁殖力が強く、厄介者の雑草というイメージを持つ方もいるかもしれません。大田市の三瓶山周辺では、このセイタカアワダチソウを地域の特産として活用する取り組みが始まっています。 大田市の三瓶山。一面をじゅうたんのように覆う黄色い花。環境省が生態系に大きな被害を及ぼす恐れがある外来種に指定している「セイタカアワダチソウ」です。

 印象的な黄色い花をつけたその根の部分からは植物の生育を阻害する物質を分泌、今では、ススキなどに代わって群生しているのが全国各地で確認され、生態系にも影響を与える「厄介者」になっています。

山の駅さんべ・梶谷美由紀さん: 「ススキとの戦いもあるでしょうし、三瓶ならではの植物があるんですね。それにも勝ってしまうし、なかなかこの生命力の植物には出会わないと思う」 こう話すのは、三瓶山西の原でレストハウスを運営する梶谷美由紀さん。三瓶山の生態系や景観を守ろうと、地元の有志などとこの「セイタカアワダチソウ」を駆除しています。 この日は、梶谷さんたちも三瓶山へ向かう途中にある耕作放棄地で刈り取りにあたっていました。

竹下慧記者: 「高さは3mほどにもなるセイタカアワダチソウ。茎も堅いため、機械を導入するなどして刈り取り作業が行われています」 高さは50センチから2メートル50センチ。大きいものでは3メートルに達するなど、その名の通り背が高いため、除草作業では機械を使って、力を込めてなぎ倒すように刈っていきます。

刈り取り作業の男性: 「背が高いでしょ。何年もたっているんで、茎が太いよね。これが膝ぐらいの草で、柔らかかったら楽ですけどね」

 作業中、梶谷さんが目をつけていたのは…

山の駅さんべ・梶谷美由紀さん: 「ちょっと花が枯れてきてますね」

黄色い花の部分。刈り取られた花を大事そうにかごの中に入れていきます。

山の駅さんべ・梶谷美由紀さん: 「いわば収穫ですね。耕作放棄地に生えているセイタカアワダチソウを材料としていただくという」

 駆除ではなく収穫!?かごに集められた花は、近くの空き家に運ばれました。すると…

竹下慧記者: 「これは、何を行っているのですか?」

山の駅さんべ・梶谷美由紀さん: 「アロマオイルを作っています。セイタカアワダチソウのアロマオイルが、この部分にたまっていきます」

 風呂場に作られた蒸溜設備で集めてきた花を100度以上の温度で蒸し、香り成分が入ったオイルを少しずつ抽出していきます。そして… できたのは「セイタカアワダチソウ」のアロマオイル。今回は6キロの花から30リットル抽出できました。

竹下慧記者: 「ほんとだ!すっぱい香りがしますね。柑橘系…オレンジみたいな」

山の駅さんべ・梶谷美由紀さん: 「時間がたつと『リモネン』という柑橘の成分が増えるので、1年目より甘みが増すというおもしろい植物だと思います」

 駆除され、捨てられるだけの「セイタカアワダチソウ」の活用方法を模索していた梶谷さんがその香りの良さに気付き、商品化を思い立ちました。 今回は観光庁の補助金を活用、アロマオイルやバスソルトなど香りを生かした商品の開発を進めていて、年内にも予約販売を始める予定です。

山の駅さんべ・梶谷美由紀さん: 「外来種だから悪だっていうのは、それはそれで悲しいなって思ったりして、いいところもあるんだよって視点を変えて、『嫌われ者を価値に』というテーマでやってます」

 嫌われ者、厄介者から価値を見出す… 「セイタカアワダチソウ」から癒やしの商品を開発。逆転の発想が、地域に新たな恵みを生み出しています。

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