本来、インドや台湾でしか生息しないはずの「真っ赤なカタツムリ」が、本州で初めて名古屋の山崎川で発見された。突然姿を現した外来種、そのワケとは…。
越冬して数を増やせば生態系への影響も…
越冬して数を増やせば生態系への影響も…
リポート: 名古屋市瑞穂区の山崎川です。あちらの川岸で、本州では初となる生物が確認されたということです
桜の名所として知られる山崎川。閑静な住宅街で、本来いるはずのない真っ赤なカタツムリが見つかった。
真っ赤な体が特徴で、細長い殻を持つ「ソメワケダワラ」というカタツムリ。殻の長さは5ミリ程度。
原産地はインドや台湾で、国内では九州や沖縄で確認されていたが、10月10日、名古屋市が主催する陸貝の生息状況の調査で、あわせて2匹見つかった。
カタツムリの生態や分布に関する調査をしている、愛知みずほ大学の川瀬基弘准教授と一緒に現場を見てみると…
川瀬基弘准教授: 最初に見つかったのが、こちらの土手と向こうの土手の道路に近い側。おそらくこのコンクリートブロックの隙間とかに隠れていると思うんですけど
発見されたのは2週間前。「まだ近くにいるかもしれない」と調べてみた。 しかし…
川瀬基弘准教授: これはナミギセルというんですけど、名古屋市では絶滅危惧IA類のかなり珍しいものです
川瀬基弘准教授: これはまた違う…これは外来種ですね。アズキガイっていう、もともと西日本にしかいなかったものなんですけど、これも市街地に最近入り込んでいる
その後も珍しい種類のカタツムリは見つかるものの、この日、ソメワケダワラは発見できなかった。
そもそもなぜ、名古屋で外来種のソメワケダワラが姿を現したのか?
川瀬基弘准教授: 一番単純なパターンは鳥の足にくっつくか、(鳥が)エサとして食べたものが消化されずにふんとして排出されて、ふんの中から生きたまま出て、それが定着するケースもあるので、長距離を移動する鳥であれば、かなり遠くから運んでくる可能性はあります
さらに、最近まで行われていた護岸工事の影響で、運ばれてきた建設資材に紛れ込んでいた可能性もあるという。
川瀬基弘准教授: 10月10日に見つかったソメワケダワラの液浸標本です
毒性はなく、人に害を及ぼすことはないというソメワケダワラ。川瀬准教授は今後、運ばれてきた経路や越冬できるのかについて、発見場所の周辺や見つかった2匹の遺伝子を分析するなどして、解明を目指す方針だ。
人には害はないソメワケダワラだが、肉食なので他の種類のカタツムリを食べてしまうため、もし越冬できて数が増えれば、今後生態系を乱す可能性はあるという。 (東海テレビ)