外来藻「ミズワタクチビルケイソウ」が長野県内の川に侵入 アユなどの生育に懸念

 長野県内の河川で渓流魚や水生昆虫の生息や成育に支障を来す懸念がある外来藻「ミズワタクチビルケイソウ」が確認され、県水産試験場(安曇野市)が注意を呼びかけている。ケイソウが侵入した河川で釣りをした人の釣り具などに付着し、分布域を広げてしまう可能性がある。同試験場は各河川の漁協などと連携して流域に消毒液などを設置し、釣り人らに防除への協力を促している。

国内では2006年に初確認

 同試験場によると、ミズワタクチビルケイソウは北米原産の藻。水中の岩などを覆うように繁茂し、綿状に群生する。国内では2006年に九州の筑後川水系で初確認され、他の河川に侵入。現在は東北、関東、中部、九州の河川で群生が確認されている。  県内河川では19年に佐久地方の千曲川水系の支流で初めて確認された。これを受けて同試験場は21年度、県内の6水系51地点で調査。雑魚川や奈良井川、千曲川、三川など県内9地点で繁茂が確認された。

岩を覆うように繁茂すると、昆虫や魚が餌のコケ食べにくく

 同試験場によると、繁茂により水生昆虫やアユなどの魚が餌にしているコケなどを食べにくくなり、成育に悪影響が出ることなどが懸念されている。山梨県ではこの藻が繁茂した川底の石の割合が4割を超えると放流したアユの定着率が低下したというデータもある。
 ケイソウがどう分布域を広げたかは不明な点もあるが、上流部のみ繁茂し下流部では繁茂が確認されていない河川もあり、ケイソウ自体が流れに乗って徐々に生息域を広げたのではなく、「人を介して拡大した可能性がある」(同試験場)という。

釣り具などへの付着が…「釣り人を介して拡大」も

 同試験場は21年度、ケイソウを防除する方法を研究。川に入る際に装着するウェーダー(胴長靴)などを5%の塩水や60度以上のお湯、濃度50%以上のエタノールに1分間ひたすのが有効と判明した。雑魚川など繁茂が確認された河川では今年、防除方法などを記した看板と消毒液、塩水槽などを設置して釣り人に協力を呼びかけた。
 10月に入り今季の渓流釣りはほとんどの河川で禁漁期間に入ったものの、一部の河川では通年解禁の区間を設けており、県境を越えて川に入る釣り人が増えるため引き続き警戒が必要となる。県水産試験場の竹内智洋技師は「一度入った外来種を駆除するのは難しい。繁茂が広がらないよう、釣り人らに協力をお願いしたい」と話している。

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