「名護はほぼタイワン…」外来種タイワンハブの脅威広がる

世界自然遺産に登録され1年となった本島北部やんばるの森。数々の天然記念物など固有の生き物が多く生息するこの森に外来生物の脅威が迫っています。本部半島や名護市を中心に生息地を拡大させているタイワンハブを取材しました。

黄色と黒が複雑に混じり合った網目模様、それに三角形の頭部、沖縄を代表する毒蛇・ハブです 。噛まれれば血管や筋肉の組織を破壊するほど強力な毒を持つ恐ろしい蛇ですが、近年、本部半島や名護市でさらなる脅威となっている別の蛇がいます。

茶色に黒の斑紋が特徴の特定外来生物・タイワンハブです。体長はハブより一回り小さい80センチ~1メートルほどですがその毒はハブよりも強いと言われています。

中国や台湾が原産でハブ酒やハブを用いたショーに使うために輸入・飼育され、逃げ出したり、遺棄されたりして野生化したと考えられています。

県環境科学センター小笠原敬課長 「名護はほぼタイワンハブ。ハブはもうほとんど捕まらないっていう話ですね。やんばるへの脅威が徐々に広がっている。」

このまま増え続ければやんばるの希少生物への影響が懸念されるとして県は名護市の北側に捕獲器を設置し、タイワンハブの北部への侵入防止につとめています。

県内のタイワンハブの捕獲数は統計を取り始めた2011年が997匹だったのに対し、2020年は3580匹とおよそ3.5倍に増え、在来のハブを上回っています。

県環境部希少種・外来種対策班・当真秀班長 「1993年、平成5年になりますけども、名護市の野外で初めて発見されて、その後本部町、今帰仁村、恩納村、読谷村などで定着が確認されているという状況です。」

「希少種が多いやんばる地域に広がった場合、オキナワトゲネズミ、ハナサキガエル。クロイワトカゲモドキなど希少種への影響が強く懸念されます。」

タイワンハブが初めて発見されたのは1993年。2000年代にはいると名護市での目撃情報も増えていました。

(2004年リポート)「きょうタイワンハブが見つかった場所は、この物置のすぐ裏手ですそしてこの場所はご覧のように住宅のすぐ近くです。」

生息地も2012年の調査では本部半島が中心だったものが、2019年の調査では名護市羽地などさらに広範囲に広がり、現在も拡大し続けていると見られます。

このほか、タイワンハブに咬まれる被害も多くはありませんが、去年は4件、一昨年も5件確認されています。

人にも在来の生物にも脅威となっているタイワンハブ。生息地をより正確に把握するために県は6月から県民参加型の新たな取り組みをスタートさせました。

当真さん「外来種に関する情報発信のために、今年の6月に外来種.comという専用のホームページを立ち上げています。」

「沖縄外来種.com」では外来生物の目撃情報を効果的に収集するため外来生物を見つけた場合、スマートフォンなどで写真を撮影し、位置情報とともに送信するよう呼びかけています。

サイト開設から8月9日までにタイワンハブだけでもすでに5件の情報が寄せられていているということで、情報をできるだけ多く集めることでタイワンハブがどこに生息しているのか、より正確に把握することができ対策の効率化につながります。

当真さん「県民の皆様にはしっかりタイワンハブの目撃情報をお寄せいただきたいと考えてます。それをもとに捕獲器を増設したり、やんばる地域に侵入しないように対策強化できることに繋がりますので。」

生物多様性が評価されるやんばるの森も課題を抱えています。ここにしかいない生き物を守るために外来生物をこれ以上増やさないという意識を持つことが求められます。

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