アライグマ被害が拡大 対策に朗報?メロンパンで捕獲数アップ

 スイカの真ん中に開けられた穴、荒らされたトウモロコシ。ビニールハウスも破られ、中のイチゴが食べられました。犯人は、アライグマです。

食べ物だけではなく、フクロウの巣も乗っ取ってしまいます。アライグマは、道内の自然や生態系にも影響を及ぼす、やっかいな外来種です。

北海道大学大学院文学研究院 池田透教授
「生成熟に達すると凶暴な面が出てきます」

 そんなアライグマを捕獲する、意外な「秘策」が。

 胆振の厚真町にある、ハスカップ農園です。実をどんどん食べてしまうアライグマに悩まされていました。2年前、知り合いの農家から、アライグマを高い確率で捕獲できる方法を教えてもらい、実行することに。

ハスカップファーム山口農園 山口善紀社長
「僕は今はメロンパンです。一昨年は3か月で32頭入った」

 捕獲に「メロンパン」を使うというのです。

 4月、山口さんはこの方法を広く知ってもらうため、SNSでの発信も始めました。この「メロンパン作戦」、さっそく広がりを見せています。

ジョージ農園 江﨑佑さん 「生ごみ用の袋で(水切り用の)穴が開いているので多分においが外にでる。」

 空知の長沼町で、イチゴやトウモロコシ、ブロッコリーなどを生産する江崎さん。アライグマの被害にたまりかね、メロンパンでの捕獲を始めました。

ジョージ農園 江﨑佑さん
「スイートコーンを3000本食べられたことがある。30万円分ということ」

 1995年、道内で生息が確認された市町村は、24でしたが去年には、ほぼ道内全域まで拡大。2020年度の農業被害額は、全道で1億4200万円にのぼっていて、アライグマ対策は、大きな課題となっています。

 道内のアライグマ研究者は…

北海道大学大学院文学研究院地域科学研究室 池田透教授
「夜行性なんですし中々人の目につかない、かなりの数に増えてからでないと存在に気が付くことはない」

 4月から6月にかけて、3、4匹を出産し、勢力を拡大するアライグマ。被害を減らすには、出産前の春のうちに捕獲することが、効果的です。そうした中の、おととい未明、江崎さんがメロンパンで仕掛けた箱わなの前に、アライグマが!

 畑を荒らす外来種・アライグマに悩んでいた長沼町の江﨑さん。捕獲のため、4月から、メロンパンを入れた箱わなを仕掛け始めました。 そばに置かせてもらった「もうひとホリ」の無人カメラにはたびたび、アライグマの姿が映っていましたが、なかなか慎重で、オリの中には、入ってきませんでした。

ジョージ農園 江﨑佑さん
「入ってますね…」 「ステップみたいなところを踏むとガシャンと閉まる仕組み。」

ディレクター
「6月1日午前2時10分です。今箱に入りました。」

 袋に入ったメロンパンを、何とか食べようとしていた時に、プレートを踏み、わなの扉が閉まりました。こうなると、アライグマは、もう外に出ることができません。江﨑さんは、4月半ばから始めた、この「メロンパン作戦」で、7匹のアライグマの捕獲に成功。例年の5倍以上のペースで、捕獲が進んでいるといいます。

ジョージ農園 江﨑佑さん
「厄介者ですね。またかわいい顔をしているから余計にね」

 軽トラックに運ばれてていくアライグマ。

北海道大学大学院文学研究院 池田透教授
「糖分と塩分は動物にとって摂取するのが難しい物質。当然そういうものをエサに使うと誘引効果が高いことが期待されます」

 アライグマは味覚や嗅覚よりも、触わった感覚を重視する動物といわれます。農家が頭を悩ませるアライグマによる被害、「メロンパン」でブレーキをかけられるでしょうか。

 アライグマによる農業被害は2020年度、1億4200万円にも及んでいます。トウモロコシをはじめとして幅広い作物を食い荒らし、被害を出しています。

 アライグマは外国から輸入されてペットとして飼う人が多くなりました。手に負えなくなった飼い主が捨てたことで野生化し、今のような問題につながっています。

 アライグマを研究する北海道大学大学院の池田透教授は「アライグマは素早く多くの人が対策に動かないと数が増えていく一方だ」と警告しています。私たちの足元にそんな危機が迫っています。

6月3日(金)「今日ドキッ!」午後6時台

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