ミツバチの天敵! 福岡にじわり広がる「ツマアカスズメバチ」 特定外来生物の繁殖拡大を防げ

海外から国内に入ってきた特定外来生物「ツマアカスズメバチ」が生息地を広げています。生態系への影響に、危機感が広がっています。

福岡でも確認

3年前に長崎県対馬市で撮影された映像です。ミツバチの巣に飛んできた、1匹の黒いスズメバチ。ミツバチを捕食しようとしています。特定外来生物に指定されている「ツマアカスズメバチ」です。 10年前に国内で初めて対馬市で確認され、2015年には北九州市でもツマアカスズメバチの巣が確認されました。その後も九州各地で確認され、4月は福岡市東区で、5月には福岡県久山町の養蜂場で、女王蜂が相次いで見つかりました。

海外では亡くなる人も

久山養蜂場 矢部勝さん「振り返ったら、蜜がこぼれていたところにスズメバチが止まって蜜を吸っていました。いつも見るスズメバチと違っていたから、あれっと思って、そばにあった新聞紙をとって叩きました」

ツマアカスズメバチとは、どんな特徴がある蜂なのか。専門家に話を聞きました。

九州大学農学研究院 上野高敏准教授「ツマアカスズメバチは、スズメバチの中では中型くらい、2~3センチ程度の大きさ。何が怖いかと言うと、蜂に刺されると体質と過去の体験によっては急激なアレルギー症状が出てくることがあるんです。いわゆるアナフィラキシーショック。日本ではまだ亡くなった方はいないが、韓国やヨーロッパではツマアカスズメバチに刺されて実際に亡くなった方はいる」

上野准教授によると、ツマアカスズメバチは船の貨物に紛れて九州に入ってきた可能性があるといいます。

九州大学農学研究院 上野高敏准教授「とにかくミツバチが好きなので、巣箱にしつこくやってきます。当然、養蜂業者の人にとってみれば、かわいいミツバチの巣に常にツマアカスズメバチがまとわりついてくるので、すごくやっかいな天敵なんです」

養蜂業者「来ることによって巣箱の中でミツバチがストレスを感じるようになったら、いろいろな病気のもとになる、とにかく駆除してください。広がらないように。生態系が変わる、それが怖い」

先週から、ツマアカスズメバチが確認された2か所の周辺地域で、環境省が調査を開始しました。

環境省九州地方環境事務所 岡部佳容さん「女王蜂が単独で巣作りをしている時期なので、巣がないか目視で確認していました。発見場所の周辺地域に、他にも蜂がいないかトラップを設置して生息状況を確認しています。乳酸菌飲料の原液と、水と、ドライイーストを混ぜたら、匂いが強まって蜂が誘引されてこの穴から入ってくる」

長崎県対馬市では、このトラップを使うことでツマアカスズメバチの女王蜂の駆除に効果を上げています。

環境省九州地方環境事務所 岡部佳容さん「非常に繁殖力が強く、他の昆虫類を食べてしまうので、ひとたび入り込んで定着してしまうと日本の生態系に影響を与えると言われています」

九州大学農学研究院 上野高敏准教授「ツマアカスズメバチは対馬に完全に定着していて、北の方から南の方まで幅広く見られる状況にあります。現在の福岡での状況は、定着のごくごくごく初期の段階。基本的に数がすごく少ない。ゴールデンウイークが明けてすぐ駆除作戦、迅速に対応してくださることで、ツマアカスズメバチの定着を阻止し、さらに福岡市の外に広がるのを抑えることができる」

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