アメリカ原産のトカゲ、沖縄で生息拡大 侵入経路はペットや米軍か 那覇など5市町で1万1315匹捕獲

 生態系等に重大な被害を及ぼす恐れのある特定外来生物のトカゲ「グリーンアノール」が沖縄県内で生息数を増やしている。県が2016年度から実施している捕獲調査では、那覇市や八重瀬町など5市町で1万1315匹を捕獲。このうち全体の94・0%に当たる1万641匹が那覇で捕獲された。在来種との餌の奪い合いや希少種の捕食などで生態系への影響が懸念され、県は緊急に対策を講じる構えだ。(社会部・東江郁香)

 ◇アメリカ南東部原産

 グリーンアノールは、アメリカ南東部原産。体は緑色で5~7センチ、赤いのど袋が特徴だ。国内では小笠原諸島と沖縄本島などに定着。日当たりの良い樹上に生息し、比較的大型の昆虫も捕食するため、樹上性の節足動物の大規模捕食や、在来トカゲ類の幼体を食べることなども懸念される。

 通年で活動し、産卵間隔が短いため増殖率も高い。県自然保護課によると、県内では1989年に初めて八重瀬町(旧東風平町)で発見。ペットとして持ち込まれたほか、個体の脱走や遺棄、米軍の輸送物資に紛れるなどして侵入したとみられ、那覇では90年ごろから目撃情報が増加した。

 県は2018年、外来種対策指針を策定し、グリーンアノールを防除の優先度が高い「重点対策種」に指定した。だが減少は見られず、19年度には那覇で調査開始後、最多の2976匹を捕獲。20年度には豊見城で最多の250匹、さらに生息域が拡大している可能性がある。

 同課によると、那覇では小禄地域、豊見城では物流センター付近に集中しており、数が多くトラップの設置が追い付かないという。

 国立環境研究所によると、世界自然遺産に登録されている小笠原では、グリーンアノールが大量繁殖し、オガサワラトカゲやオガサワラゼミ、チョウ類のオガサワラシジミなどの固有種が絶滅の危機にある。

 県は今後、効率的な捕獲方法を模索し、トラップの増設も検討する。担当者は「県民への周知も徹底し、分布の拡大や世界自然遺産登録地への侵入を防ぎたい」と話した。

 ◇やんばる分布阻止を

 河田雅圭東北大学教授(生態学)の話 河田雅圭教授 那覇市内にグリーンアノールが侵入し定着した経緯や生態系に与える影響は解明されていない。一方で小笠原では、生態が異なるオガサワラトカゲや固有種の昆虫が、絶滅の危機に追い込まれた背景がある。

 グリーンアノールは日当たりの良い開けた場所を好み、市街地では街路樹や公園の林縁などで活動する。在来種と餌やすみかを競合している可能性はあるが、県内では詳細な調査が実施されていないので具体的な影響もまだ分かっていない。

 だが環境への適応能力は非常に高く、急激に増殖し高密度で定着していることは明確だ。日光が好きなので那覇より平均気温が低く高湿度なやんばるへの定着はまだないが、世界自然遺産登録地へ分布を拡大させないことが重要だ。

 現段階で効率的な捕獲方法はない。県は捕獲調査を継続して繁殖数や生息域を把握し、拡大防止対策を見いだすべきだ。

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