桜の大敵・クビアカツヤカミキリの分布予測 埼玉県

 埼玉県は、桜などを枯らす特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の分布拡大予測モデルを開発した。過去の被害状況などに関するデータを活用し、コンピューターでシミュレーションする方法を確立した。予測の結果、県中央部から県東部にかけて河川沿いに広がる可能性が高いことが分かり、県は、対象エリアで農薬を集中的に散布するなどして被害の抑止を図る。

 クビアカツヤカミキリは成虫の体長が3~4センチで、10匹程度で1本の樹木を枯らす。埼玉県内での被害は平成25年に草加、八潮両市で初めて確認され、県の北部と南東部を中心に拡大した。県は被害情報の提供を県民に呼び掛けるなどし、昨年度は16市町の431カ所で被害が確認された。

 分布が広範囲に及んでいることを重くみた県は、効率的な駆除につなげるために予測モデルの開発に着手。東京都立大大学院の大沢剛士准教授と共同で、これまでに蓄積した分布と被害情報のデータをコンピューターシミュレーションと組み合わせた手法の開発に成功した。

 予測では、山林の比率が高い県西部への広がりが限定的である一方、都市化が進んで桜の名所も多い県中央部から県東部にかけて分布する可能性が高いという結果が出た。面積に対して河川の総延長距離が長い地点で発生しやすいという傾向も判明した。

 県は、予測の精度を向上させるために今後もデータの蓄積を重ねていく方針で、担当者は「桜を守るため、クビアカツヤカミキリの被害や成虫の発見情報を提供してほしい」と話した。(中村智隆)

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