「危機的状況」世界中で猛威をふるう外来カミキリ 宮城県内でも被害確認 樹木食い荒らす

あらゆる木を食い荒らし、枯らしてしまう虫として世界中で猛威をふるう、外来種の虫がいます。宮城県内でも今年の夏に初めて確認され、現在、公園の近くの街路樹や、大学でも被害が確認されています。

西ノ入菜月アナウンサー 「太白区の富沢公園です。この時期でもまだ葉っぱを付けている木もあるが、こちらのカツラの木は弱って枯れかかっています。この木の表面をよく見てみると無数の穴が空いているのがわかります。じつはある外来種生物の仕業なんです」

 今年8月、宮城県内で初めて確認されたある外来種…。それが『ツヤハダゴマダラカミキリ』です。中国原産で、国際自然保護連合が定める「世界の侵略的外来種ワースト100」に含まれています。あらゆる木に寄生し内部を食い荒らし、枯らしてしまうのです。 国内では2002年に初めて横浜で確認。原因は中国からの輸入物に紛れ込んだ説が濃厚とされています。その後、確認情報は途絶えましたが、去年3月、18年ぶりに神戸で確認。そして、今年に入り、福島、茨城、宮城で相次いで確認されました。

 仙台市内では、今年8月、SNSへの投稿動画がきっかけで見つかりました。調査を行う東京農業大学の柳丈陽さんとともに、実際の被害を確認しました。

東京農業大学 柳丈陽さん 「この穴は、カミキリムシの幼虫が木の中で育ってそれが羽化してくるときに開けた穴。脱出孔と呼ばれる穴になります。穴が空いている数の分だけ成虫、カミキリムシが外に出てきている」

 ツヤハダゴマダラカミキリは例年7月から10月ごろに成虫が樹皮に卵を生みます。1週間ほどで孵化し幼虫は、木の内部を食べながら1年かけて成長。成虫の姿で木から外に飛び出してきます。 被害は公園の外にも及んでいました。公園脇の市道でもおよそ1キロにわたり植えられている街路樹のカツラの木およそ50本から、ツヤハダゴマダラカミキリの痕跡が見つりました。

東京農業大学 柳丈陽さん 「駆除の対処法としては木を伐採して焼却処分する方法しか現実的にはないと思います。徹底的に対策をすると、このカツラの木をすべて伐採しなければいけない」

近くに住む人 「怖い。こんなところにもいるんだなという感じ」

 さらに、青葉区でも見つかったという情報を受け、向かった先は…東北大学の青葉山新キャンパス。ここではなんと去年8月にすでに確認されていました。

第一発見者 東北大学4年生 熊谷佳奈子さん。 「ここですね、この枝の辺り。穴を開けたりとか、産卵している様子が見られました」

東京農業大学 柳丈陽さん 「これはヤナギの木ということで、富沢公園周辺のカツラの木とはまた違う木になります。ヤナギの木は河川敷に多く生えてますので、河川敷への侵入があるとたちまち非常に広範囲に広がってしまう可能性があります。ここまで広がっているとなると危機的な状況になっている」

 確実に広がる、「ツヤハダゴマダラカミキリ」の被害。手遅れになるその前に早急な対策が求められています。

 ツヤハダゴマダラカミキリに毒はありません。宮城県は県内への定着を確認していますが、対策はまだ打ててないのが現状。柳さんは、もし見つけたら研究グループまで連絡してほしいとしています。そして今後、来年7月頃に成虫が木から出てきた時に一気に被害が拡大する恐れがあります。一刻も早い対策が必要です。

 見つけた場合は、 ツヤハダゴマダラカミキリ研究グループ メールアドレス:tsuyagoma@gmail.com

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