国内で繁殖する野鳥の分布などを調べる約20年ぶりの全国調査で、スズメやツバメといった身近な鳥が1990年代に比べて減る一方、ペットとして持ち込まれたガビチョウなどの外来種が増えていることがわかった。NPO法人「バードリサーチ」や日本野鳥の会、環境省などが25日、発表した。
今回の調査はいわば「野鳥の国勢調査」で、1970年代、90年代に続き3回目。国内にいる鳥278種について、全国1947地点での観測データを90年代と比較した。鳥の移動を考慮しても全国的な分布の傾向や個体数の増減をつかめるという。
研究者やボランティア2106人が参加し、各地点で繁殖期の4~6月に双眼鏡で観察したり、「ヒナの声を聞いた」「卵のある巣を見た」といった情報をアンケートで集めたりした。
その結果、北海道から鹿児島県・奄美大島にかけて夏鳥として分布するツバメは、90年代の1万4978羽から8987羽に減少。ほぼ全国に分布するスズメも、3万1159羽から2万627羽に減っていた。
ツバメやスズメは農地など開けた場所を好むため、農薬や作物の変化が影響した可能性があるという。
また、ゴイサギやコサギなど魚を食べる小型の水鳥は、分布域が縮小した種が目立った。大型の水鳥は増えており、小型の鳥がエサにする小魚が、ブラックバスなど肉食の外来魚によって減っている影響が考えられるという。